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天命と共に 【文豪ストレイドッグス】 第三者目線

第5章 本編 第12章 たえまなく過去へ押し戻されながら


「おい、朝刊見たか!」

朝刊を手に慌ただしく探偵社の扉を開け、入ってきたのは国木田であった、そして、彼を追う形で小春が入室する

既に集まっていた社員達は全員、備わっているテレビを食い入るように見つめていた

「報道(ニュース)でもやってるよ」

そして、国木田の言葉に肯定を示した大宰もその一人であった

しかし、その表情はいつもの飄々としたものではなく、何処か難しく、厳しい顔をしていた

また、普段の大宰が国木田よりも先に出社しているということは有り得ないことだった

いや、出社するのはまだ善い方であった

いつもは出社するどころか、"完全自殺読本"を愛読している太宰は常々、苦しまずに自殺する方法はないかーー等と言っては川へ入水したり、進んで毒のある茸を食べようとする等の奇行に走っては国木田達を振り回しているからだ

社員としての規則等持ち合わせていない様に見える大宰がこれほどまでに、真面目に、そして、真剣に取り組んでいる様子を見ると、今回の件がいかに深刻であるかが窺える

その為、いつもは比較的穏やかな社内も緊張感に包まれていたーー

社員達を釘付けにする報道はとある事件の現場を映し出していた

ーー内容は7階建ての建物が消滅したという不可解な事件であった

それも、一夜にして……だ、

[一部の情報筋では消滅した建物にはポートマフィアのフロント企業が入っており、構成員の事務所として使用されていた、とのことで……市警は敵組織による襲撃の可能性も視野に調査を続けている、とのことであるが……]

しかし、社員達はこれが組合の仕業であると確信していた

何故ならーー

「……フランシス殿が言っていた"メッセージ"とは、このことか」

その刹那、社内に通じる扉が開き、声がした

そこには探偵社の社長、福沢が佇んでいた

「社長!」

全員が福沢に視線を向ける、国木田は背筋を伸ばし、彼へと駆け寄る
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