第4章 体育祭、それぞれの準備
「うおおお…何ごとだぁ!!!?」
教室の扉の前で、麗日は驚愕の声をあげる。
クラスメート達も麗日の視線の先を辿る。すると教室の外には見知らぬ雄英の生徒達でザワザワザワザワと溢れかえっていた。
「あ、私が1-Aに来るとき。
そういえばココに向かう生徒多かったような…わっ!」
帰宅しようとした爆豪が急にアザミの腕を掴み立ち止まる。見物客で溢れかえった教室の扉の前で、彼はアザミを隠すように自身の背後に回した。
「敵情視察だろ、ザコ」
「ザ…?!!」
“ザコ”
この言葉に爆豪より背後に居るアザミ、緑谷、峯田達がアワワと震えだす。
当の本人はそんなこと気にもしない。
「ヴィランの襲撃を耐え抜いた連中だもんな」
うん、確かに。
襲撃されるなんて事、通常はあり得ない。
そんな中、勝利を収めたクラスだ。気にならないわけがない。
アザミが1人うんうんと頷く。
「体育祭の前に見ときてえんだろ」
“体育祭”
日本最難関のヒーロー科を抱える国立雄英高校にて行われる、個性ありの体育祭の事である。
TVでも放送され、高視聴率をキープ中。日本が熱狂するビッグイベントの1つである。
主にヒーロー科の生徒が活躍する為、現役プロヒーローもスカウト目的で大勢観戦に来る。
年に1回、高校生活に3回だけの大チャンス。
ヒーローを志すなら絶対にはずせないイベントだ。
そんなビッグイベントである雄英体育祭が2週間後に控えている今、生徒達の関心がより1-Aに集まっている。
そんな中、爆豪が放つ言葉は…
「意味ねェから
どけ モブ共」
……あ"ーーーーーーーーっ
それ言うの?!言っちゃうの?!!
火に油を注いじゃうんだね!!
かっちゃんだもんね!!!
アザミと何人かのクラスメートが青ざめた。
「知らない人の事、とりあえずモブって言うのやめなよ!!」
シュビッと腕を降る飯田天哉。
飯田くん、もっと言って!!
かっちゃんには1ミリも響いてないだろうけど!!
もっと言ってクラス委員長ーーー!!!
アザミは爆豪の背中が壁となり目視で確認できなかったが、彼の言葉により生徒達の不穏なざわめきが際立ったのを感じた。
ズキッ