第3章 《僕》のオリジン
“無理に決まってる!”
“自分の立場、わかってる?”
“ 無 個 性 の く せ に ”
どんな反応を示されても傷つかないよう、心に予防線を張る――――
「頑張ってね」
「え…?」
「だから、頑張ってね!」
アザミちゃんを見れば。
握り拳を作り、いつものイタズラっ子な笑顔ではなく大胆不敵に笑っていた。
「アザミ、ちゃん…」
「雄英高校はデクくんの大好きなヒーロー、
――――オールマイトの、母校だもんねっ!」
そう。オールマイトは僕が1番憧れるヒーローだ。
そして、このヒーロー飽和社会にも関わらず、人気不動のNo.1ヒーローである。
「きっと、デクくんが一生懸命考えて決めたことでしょ?それなら応援しなくっちゃ!
―――頑張れっ!!」
アザミちゃんはその握りこぶしで僕の胸をトンッと優しく、だけど力強く叩いた。
「!、う、うん…っ!!」
否定、されると思った。
いくらアザミちゃんでも「それは難しいよ」くらいは言われるだろうと思っていた。
否定、されなかった。
それどころか誰にも言ってもらえなかった「応援してる」、だなんて。
そんなこと、言ってもらえるなんて思わないじゃないか
ましてや、オールマイトの存在を知る前から、幼い頃からずっと背中を追いかけてきた憧れの存在であるアザミちゃんに言ってもらえるなんて。
嬉しくない、訳がない
「アザミちゃん…ッ!!
ありがと"ぉ"…ッ!!!」
「もう、今日で何回泣いてるの」
涙と鼻水でぐずぐずのべしょべしょになった僕の顔を、アザミちゃんは幼子をあやすようにハンカチで優しく拭ってくれた。
いつも不安だった。
無個性の僕はクラスでも浮いているし、まるで世界から僕=“無個性”の存在を否定されているような気持ちだったから。
きっと自分が無個性だと知ったときから、知らず識らずのうちに存在意義を探していたんだと思う。
(アザミちゃんに、知られたくない…ッ)
こんな寂しい気持ちなんて。
独りぼっちで惨めな気持ちなんて、知られたくない。