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【ヒロアカ】みんな誰かのヒーローで

第3章 《僕》のオリジン




「簡単に見せて良いものじゃないよ!本当にすごいもん!」

「い…、嫌じゃ、なかったの……?」

「嫌??むしろ見たいけど?…って!!デクくん、何で泣いてるのっ?!」



大事なノートを勝手に見たからだよねごめんね!と、アザミちゃんは慌てつつも丁寧にノートを閉じて僕に返した。

ちなみにノートを勝手に見せたのは僕であって、アザミちゃんは快く見てくれただけだ。



「ちが…そう言ってくれたのが、嬉しくて…!」

「泣かないで、デクくんっ
ごめんね、私がまどろっこしい言い方したから…!!」


涙をゴシゴシと拭う僕の背中をアザミちゃんはトントンとあやすように優しく叩く。


「こんな凄いノート、もう誰にも見せちゃダメ。もちろん、私にもね!


だってこれは、デクくんの財産だよ!」

「…っ」



“デクくんの財産だよ!”

嬉しくて 本当に嬉しくて


無個性の僕を取り巻く世界はいつだって不平等だ。
どんなに夢を描いて頑張ってみても、理想に近づくどころか引き離され打ちのめされる。

だけどアザミちゃんは、
アザミだけは

無個性の僕にだって、いつだって優しく平等なんだ



「なんで…ッ」

「…ん?なあに?」


だから、有力な個性を持ったアザミちゃんが、


「なんで、アザミちゃんはっ



経営科に、したの…?」



「!」

「だってアザミちゃんは…!

ずっとヒーローに、憧れてたでしょう…!?」


アザミちゃんがヒーロー科にいかなかったことが、自分の事のように悔しかった。



「…え…っと、ね、」

アザミちゃんは少し言いにくそうに口籠る。

「やっぱり…“あの日”?」

「――えっ?」



「アザミちゃんが好きだったヒーローが、事件で亡くなった……あの日?」


“あの日”――――――

アザミちゃんが大好きだったヒーローが殉職した日であり、

アザミちゃんの高校入試試験日


―――――ヒーロー科の、試験日だった。




「……流石、ヒーローオタクのデクくんだ」

そんな事まで知ってたなんて!と明るく言うアザミちゃんが痛々しい。







「………実力が、なかっただけだよ。」







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