第3章 《僕》のオリジン
「やっぱり、ヒーロー関連でいっぱいだ!」
“超常”への警備、悪意からの防衛
ヒーローは世論に押される形で公的職務に定められる
彼等は活躍に応じて与えられるんだ…
国から収入を、人々から名声を!
憧れない訳がない
「…って!もうこんな時間?!」
校庭を見下ろせば人っ子一人いない。普段は賑やかな学校も静けさが染み渡る。
「早く行かなきゃっ!」
約束の時間に遅れてしまう!!
鞄を慌てて背負い、校門に向かって走り出す。
「はぁ、はぁ…っと、目が覚めて良かった〜…」
なんだか昔の夢を見ていたような気がするが思い出せない。嫌な夢だったような、良い夢だったような。
所詮、夢なんて起きれば忘れてしまう。
そんなものだ。
思い出せない夢はさて置き、今から待ち合わせ場所に向かえば間に合うだろう。
そんな気持ちで校門をくぐり抜けると、
「デークくんっ♪」
「わぁ?!!え?!な!なんで!!
アザミちゃん?!」
なんと、そこには高校の制服姿で自転車に跨るアザミちゃんがいた。
僕が飛び跳ねて驚くのは無理もない。
「なっ、何でここにいるの?!待ち合わせはここじゃないだろ?!」
そう。
待ち合わせをしていた相手が突如現れたのだから。
「バイト、早上がりになってさ!迎えに来たの!」
ここは母校だし、たまには来てみたくて〜と笑いながら自転車のペダルに足を乗せる。
「乗って」
「へ?」
「後ろ」
「えぇ?!」
「ほらっ」
アザミちゃんは後ろの荷台をポンポンと叩き、僕に座るよう促す。
「だって、それは…っ!」
「だいじょーぶ!すぐそこまでだから」
「いやいや、そうじゃなくて…!」
距離が!!近すぎる!!!
二人乗りって座るはいい(いやダメだやっぱ近すぎる)けどドコ掴むの?!
よろけたりバランスを崩したりした場合、アザミちゃんに抱き着いてしまうのでは…?!
僕を乗せて走るなんて重いし大変だろうし危ないし、そもそも二人乗りなんて禁止だし?!!
何が大丈夫なんだろう?!
「そんなに拒否らなくても…」
「の、乗るよっ!」
アザミちゃんのシュン…っとした悲しそうな顔を見て、即答してしまった。
しかし、僕は直ぐに後悔することとなる。