第2章 USJ襲撃事件
『ええ?!デクくんが委員長?!凄いっ!』
『ふふ、かっちゃんの悔しがる姿とリアクション、目に浮かぶなぁ!』
緑谷と爆豪の話をするアザミはとても嬉しそうだった。二人の事が気掛かりで大切なんだと痛い程伝わってきた。
(幼馴染って、スゲェな)
幼馴染という特別感の羨ましさ。
そして幼馴染という名のたちはだかる大きな壁。
しかし、それ以上でも以下でもない。
切島は緑谷との会話を思い出す。
『き、切島君っ…!!!』
『うお!?どうした緑谷??』
切島が教室に戻るや否や、緑谷は物凄い剣幕で切島に詰め寄った。
『マスコミ騒動の時、アザミちゃんと一緒にいたよね…っ?!
アザミちゃん、落下したけど大丈夫だった??!』
『お、…おう!』
『怪我は!?してなかった?!!』
『お、おう!俺がちゃんと受け止めたぜ!』
『よ、よかったァ〜〜〜ッ!!』
緑谷は安心しきったのかその場にヘナヘナと崩れ落ちた。しかしその後『え、受け止め…え?』と、ひとり困惑していた。
『…チッ』
『爆豪?』
『あ"ぁ?!テメェに用なんかねェーわ!!』
また、爆豪が遠巻きにこの会話を黙って(いたものの物凄い形相で)見守っていた事を切島は気づいていた。
(確証もねーけど、もしアイツ等がアザミさんに幼馴染以上の感情があるのなら…)
アイツ等にとって幼馴染という関係はとんでもない障壁になるのではなかろうか。
彼女が大切にしているのは“幼馴染”の二人であって―――
羨ましさと共に、近すぎる存在は時に残酷だなと気の毒にすら思う。切島はポケットの中でアザミから貰った割引券を握る。
(また、会えねーかな)
彼女の事をもっと知りたい
彼女に もっと近づきたい
(…次、会ったら聞いてみてェ)
アザミが個性を発動し、軽やかに高く跳んだ姿が脳裏に浮かぶ。靭やかに、そして力強く跳ぶ彼女の姿は目を奪われるものがあった。
(どんな個性だったんだろ)
切島はポケット中で握っていた割引券をそっと放し、その手をビシッと高く天井に向かって突き上げた。
チャンスは自分の手で、掴むーーー!
「ハイ!俺、図書委員やりてェ!!」
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