第2章 USJ襲撃事件
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切島は明朗快活な新入生だった。
とても親切で話しやすく、爽やかな笑顔で話を弾ませた
「へぇ〜!デクくんが学級委員長になったんだ!?」
あのデクくんが!なんて言ったら失礼だけど……でもやっぱり、あのデクくんが学級委員長だなんて!
「緑谷、なんだかんだで熱いッスしね!」
「確かにそうかも!」
「そしたら爆豪がめっちゃ悔しそうにして!」
「ふふっ、それすっごく想像できる!」
緑谷と爆豪の事で悩んでいたアザミだが、自分が知らない二人の話を聞くのは新鮮で純粋に楽しかった。
「爆豪はあんなんスけど、男気ある奴だと思うんスよね!」
「!、…うんっ、そうなの!言動があんなだから、誤解されることも凄く多くて…っ!」
理解されにくい爆豪の内面に気づいて貰えた事にも純粋に嬉しく思うアザミ。
「少しは、元気になりました?」
「えっ?」
「いや、俺ってこんなんだし?さっき怖がらせちまったかなーて、思いまして」
「えっ…!」
アザミは彼の見た目だけで怯えた自分に恥じ、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「ご、ごめんね。最初、びっくりしちゃって…!」
「全然いーっスよ!むしろスンマセン」
「今は全くそんな事思ってないよ!明るくて頼り甲斐があって…!」
「ははっ!それなら良かったッス!」
アザミの褒め言葉に、切島は片眉を下げて笑う。
「……むしろ、切島くんが。デクくんとかっちゃんと同じクラスで、良かった」
「何でですか?」
「切島くんってきっと、クラスを明るくするムードメーカー的存在でしょ」
「…いや、そんなことねーッスよ」
切島は先程のテンションとは異なり、心做しかほんの少し後ろめたそうに笑う。
「デクくんとかっちゃんは、決して仲良くはないから…切島くんみたいな思いやりのある人がクラスに居てくれるって分かったら、安心しちゃった!」
「先輩…」
「ふたりの事、よろしくね」
アザミはお姉さん風な事をまた言ってしまったなあと心の中で苦笑いするも、切島に感謝した。
「っ、…おうよ!」
照れくさいのだろうか。
切島は少し頬を染めつつ、グッと握り拳をつくってみせた。
「…ありがとうっ!」
アザミの笑顔で彼の頬が染まった事は、アザミは知らない。