第6章 体育祭、それぞれの想い
(いや、そんなことなど言ってられない)
予選を通過してここまで来たのだ、諦めるなんてできない…!
アザミは一目散にとある生徒の元へ駆け出した。
その生徒にもミリオ程ではないが何人か人集りが出来ており、アザミは一瞬怖気づくも負けじと大きな声で叫んだ。
「ねえっ…………
わ、私と!チーム組もう!」
「……」
声をかけた生徒から何の反応がない。
き、聞こえなかったのかな?とアザミは不安になる。彼の長めの前髪で表情も読めない。
(やっぱり、私となんて組みたくないよね…)
私よりも相性の良いヒーロー科の生徒なんていくらでもいるだろう。そもそも彼は雄英高校のBIG3の1人で、私なんて足手まといにしかならない。きっと誰もがそう思うだろう。しかし、自分と組む事で勝算がない訳では無かった。
(怖気づくもんか…っ!)
内心、余裕なんてない。
それを悟られぬようアザミは余裕の笑みを浮かべ、手振り身振りを加え得意のプレゼンで自分と組むことのメリットとあえてデメリットを述べる。
「――――と、言うわけで!
私と二人でチーム組もうよ!
――――――あ、天喰くん!」
緊張からくる胸の鼓動と反比例して、天喰くんの唇の動きがスローモーションに見える。
お願い、良い返事をして。
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