第6章 体育祭、それぞれの想い
「全部、って…
……なにを?」
「っ、
あはは!アザミには通じてないか!」
通形は至極真面目な顔をしているアザミの頭をポンポンと撫でながら「そっかー、アザミだもんねそうだよねー!」と涙を浮かべて大笑いする。
「なっ…なにさ?!言ってくれなきゃわかんないよっ!」
そんなに空気を読めていなかっただろうかと心配と羞恥で顔を染めるアザミの頭に、通形は大きな手を乗せたまま笑い続ける。そんな彼をアザミは不審に感じた。
いつもの通形と何かが違う。
今のミリオは何処か寂しそうな、苛立っているような。焦っているような。
残念そうな、ホッとしてるような。
「ミリオ…?」
「はは、ごめんて!
その時が来たらちゃんと言うよ」
あまりにもじっとみつめてくる通形に、アザミはワケもわからず何故かだんだんと恥ずかしくなっていく。
「あ、あのっ!ミリオ…?」
アザミが口を開いたその時、
「上位の生徒ほど狙われる下剋上サバイバル!
それでは皆さん、チーム組を始めますよ!
よーい、……………どんっ!!!!!!」
13号先生の声を合図に一斉に生徒たちが10000万ポイント所持者の通形へ一気にドドドッと群がっていく。
「え…わ…わ…
うわーーーーーっ!!!!!?」
通形とアザミの取り巻く雰囲気どころか、アザミごと一瞬で吹き飛ばされる。
「通形っ!俺と組もうぜ!!」「いやいや、私と!」「ポイントが高めな自分と組もう!?」と通形に群がる生徒によってアザミはポーンと弾き飛ばされた。
「いいよ!皆、俺と組もう!」
アザミに、格好いいとこ見せなくちゃね
通形は握り拳をグッと空に突き上げた。
「ど、どうしよ…!!」
一方、アザミは騎馬戦のチーム作りに乗り遅れていた。
3年生にもなれば誰がどんな個性の持ち主で、自分との相性の良し悪しも把握済みだ。しかし、それはヒーロー科の話である。
「私はヒーロー科の皆の個性知ってるけど、私の個性を知ったうえでチーム組んでくれる人なんて…っ!」
絶望的な状況である。
アザミは頭を抱えた。