第6章 体育祭、それぞれの想い
「これは何でもありの障害物競走だ。
セコいもズルいもない…!」
「天喰、くん…?」
「な"…いやいや、人にくっついてゴールとか。それじゃまるで寄生虫じゃ、」
「それで手に入れた勝利だとしても!それは猫柳さんの作戦勝ちだ」
「…あぁ…ッ、……そーかよっ!!」
アザミを非難し分が悪くなった生徒は演習場から立ち去って行った。
周囲の生徒たちが一斉にアザミと天喰に注目する。すると天喰はみるみると顔が青ざめ、演習場の壁際まで下がってしまった。
「こっ、こんな大勢に見られるなんて…辛いッ」
天喰は壁に額をくっつける始末だ。
アザミは慌てて天喰を追いかけようとするも天喰の動きが素早すぎて手が宙に舞うだけとなった。
「あ、天喰くんっ!…ありがとうっ」
アザミは安諸からうっすら涙を浮かべ礼を言うも、天喰は気づきもしない。
彼女から自身の名を呼ばれ、お礼を言われただけで顔が火照ってしまった天喰。そんな彼にアザミもまた気づくことはなかった。
「さあさあ君達!揉めている時間なんてないですよ!そして次から本選です!
第二種目は〜〜〜……
騎馬戦ですっ!!!!!」
「騎馬戦?」「不思議!個人競技じゃないけどどうするの?」と生徒たちから声が上がる。
「参加者は2〜4人のチームを自由に組んで騎馬を作ってもらいます!基本は普通の騎馬戦と同じルールだけど1つ違うのが…
先程の結果にしたがい各自ポイントが振り当てられること!組み合わせによって騎馬のポイントが違ってきます!
1位に与えられるポイントは1000万です!!」
皆がバッと一斉に通形ミリオを見る。
「あは!そんな見られると照れちゃうな」
「ミリオ、皆の目を見て?!照れる要素ないよ?!!」
みんなの目がギラギラしている。獲物を狙うハンターだ。アザミは一人身震いする。
「俺はさっきの、アザミを庇う環の方が怖かったよ」
「え、天喰くんが?」
天喰くんの何処に怖い要素があっただろうか?確かに人前で意見する天喰くんは珍しかったけれど。
「…環に、全部持ってかれると思った」