第6章 体育祭、それぞれの想い
「人を助けるのが私の仕事だからね!
困っている人を助けに行かなくちゃいけないので…では!」
「ま、まって!
あなたの…ヒーローの、おなまえは?!」
「私は、―――“ ”!!」
ヒーローは名を名乗り颯爽と走り去っていった
「…ぃ…!…オイ、アザミ!!」
「わあっ!?」
「アザミちゃんっ!だいじょーぶ!?」
「あ、あれ?かっちゃん、デクくん…!」
顔を上げるとそこには爆豪と緑谷が居た。砂場に座り込んだアザミを二人が囲んでいるではないか
「なんかいもアザミっつってんのに、無視すんじゃねえ!」
「え?」
「そ、そうだよっ!しんぱいしたよ?」
「そうだったの?ごめん」
「……あいつらか?」
「?、あいつらって?」
「公園くるまえに、アザミを泣かせたやつらに会った」
またちょっかい出されたのか?と、怒りを顕にした爆豪は険しい表情でアザミに問う。緑谷は不安気な面持ちで彼女をみつめた
「えっと。ちょっと、ケンカ?しちゃって…」
「は?」「えぇ?!」
二人の反応は憤怒と悲嘆で正反対なものの、アザミを心配しているからこそのリアクションである。二人の反応を見て「このままじゃいけない」とアザミは思った。
「…心配かけ、てごめんね。
でもね!ヒーローが助けてくれたから、だいじょーぶだったの」
「「ヒーロー?!」」
「すんごくきらきらしててね!やさしくってね!
オールマイトよりかっこいいの!」
「「オールマイトより?!」」
「そうなのっ!わたしね!
大きくなったらそのヒーローのサイドキックになるの!
…だから、個性がじょうずに使えるようになるまで、みんなの前ではつかわない!」
初めて見たヒーロー活動は、幼いアザミに夢と感動を与えた。
この頃は個性の事で虐められたり喧嘩したり、または個性によって友達に怪我をさせてしまうことが度々あった。しかしヒーローとの出会いをきっかけに、そういった頻度は激減していった。
また、幼馴染である彼らはアザミの個性が“猫”であることを昔から知っていたが、彼女が個性を使っている姿を殆んど見たことがなかったのはそのためであった