第5章 ◆◇短編*ミッドナイト夢 叶わぬ夢◇◆
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数日後、私はヒーローインターンで遠征が入る。知らず知らずのうちに全面戦争が始まった。
全面戦争…プロヒーロー勢と超常解放戦線の頂上決戦だ。全てのプロヒーローだけでなく、私達ヒーローの卵である学生まで駆り出された。
私は今、敵のアジトがある山奥にいる。
「なあ、香山。
今日のことミッナイ先生から聞いてたの?」
「まさか、知らなかったよ」
お姉ちゃんと同じ任務に当るなら教えてくれても良かったのに!なんて、私が一番思ってる。この上なく不服だ!
「…そろそろだね」
「立とうぜ、グレープジュース」
「何故???
オイラ達後衛の仕事は前衛が取り漏らした奴を捕まえること!
つまり後衛が張り切る事自体、前衛…プロヒーローに対する冒涜だ!」
「立ぁつの」
私と瀬呂の促しを拒否する峰田。
この戦いのために、かつてない規模でヒーローが集まっている。
「そりゃ、プロヒーローのお姉ちゃ…じゃなくて、ミッドナイト先生達だもの。大丈夫に決まってる」
公私混同を避けるため、私はお姉ちゃんを“ミッドナイト先生”と、お姉ちゃんは私を“香山さん”と呼んでいる。
形式上、シャキッとしてみせるものの、私は呑気に構えていた。
いや、それは私だけじゃない。大変なことが起こっていると思いつつ、ここに居る全てのヒーローと学生達は“大丈夫だろう”と思っていた。
しばらくすると前衛のプロヒーローの援助に駆り出されていた学生、上鳴達が後衛に戻ってきた。
「なあ、香山!」
「お帰り上鳴!何?」
「俺、戦いの雰囲気にのまれて怖気づきそうになったんだよ。そしたらミッナイ先生がさ!
“どこかの誰か”じゃ難しいなら―――
今一番大事なものを心に据えな
―――――て、言ったんだよ!」
ミッナイ先生が心に据えるのは、きっと香山だろうなって思ったぜ!と、上鳴は自信満々に言う。……何よ、それ。もうっ!
ミッドナイト先生…お姉ちゃんが上鳴に、そんな話をしたなんて。
「…さーね、男かもしれないよ」
「香山、お前ほんっとーに素直じゃねえな!」
「うるさいっ!」
上鳴とそんな会話をしていたら、事態が一瞬で急変した。
«聞こえるかしら、クリエティ!!»
通信機からお姉ちゃんの声がした。