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【ヒロアカ】みんな誰かのヒーローで

第1章 《 》の幼馴染







俺がアザミより背が低かった頃、よく頭を撫でられた。






『俺、デクはもちろん!もうアザミより足早ェから!』

『わ!ホントだ!かっちゃん凄いねぇ!!』


ポンポンと優しく撫でてくれるその手が嬉しくて、俺は得意気になった。
けど次第にちっとも悔しがらないアザミに、俺の方が悔しがるようになった。


『当時のお前より俺の方が優秀だァ!!ザマァ!!』

『かっちゃん、すごっ…!めっちゃ勉強頑張ってるんだね!!』

アザミはぽんっと俺の頭に手を添え『いつも頑張ってて偉いねぇ!』と撫でた。
煽ったつもりで言ったのに、褒められるなんて思わなくて拍子抜けした。


『……ッ、少しは悔しがれよ!!!
いつまでも弟分じゃねーかんなッ』

そう吐き捨てアザミの手をパシッと叩く。


(クッソ…っ)

アザミに撫でられる事が嫌じゃない。
俺はソレが1番嫌いだった。










ましてや今も同じ事を思ってるなんて。

その手が昔と変わらず優しくて、俺の努力を認めてくれているようで。心の奥底で安諸してしまう。

好きだという想いと同時に、ふつふつと悔しさも湧き上がる。
俺はいつまで経ってもアザミに追いつけねェ。












―――――しかし、アザミは雄英高校に入学してから俺より先に行く事を放棄した。


コイツはヒーロー科に進むべきだったのに。
コイツの個性なら、十分試験だって受かるはずだったのに。


(堂々と追い越せねェじゃねーか…ッ)


だから、俺はヒーローになれる価値を手放したアザミを許せねェ。

だからいつもイライラしてしまう。


「アザミ、テメェこそ……





















ヒーローになるの、何やめとンだ」


俺の頭に触れていたアザミの手が一瞬ビクッと跳ね上がり、そして静かにそっと離れていく。


「……前にも言ったじゃん。実力がなかったんだよ」

「嘘言ってんじゃねェ」

「もー、嘘じゃないってば」


腹立つわ、その嘘に。
アザミの貼り付けた笑顔が痛々しくて、俺はフンッと鼻を鳴らし目を逸らした。







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