第4章 体育祭、それぞれの準備
(個性がうまく使えないからといって。
いつまでも出来損ないの“デク”ではいられない…!!!)
「デクくんのこと、応援してくれる人がいるんだ?」
「ん……へ?う、うん」
心の内で決意していたため、気の抜けた返事になってしまった。
「なら尚更!
自分のこと謙遜しすぎちゃだめだよ!」
「?、どうして?」
アザミちゃんが何を言いたいのか全然わからない。だって僕は謙遜しているのではなく、自分の出来なさを客観的に述べているだけだ。
「だって、自分をリスペクトしてくれる人がいるのに。謙遜しすぎたり卑下したりするのはさ、その人まで下げちゃうことにならない?」
「どうゆうこと?」
「んーっと、なんて言うのかな…
私がさ、“デクくんは強いヒーローになる!”って応援してるのに、本人が“そんなことない、なれないよ”って過小評価するのは。
評価してる私まで下げられちゃうっていうか…」
「えぇえっ?!!
僕そんなこと思ってないよっ!!?」
「わかってる。でも、そうゆう意味にもなっちゃうから気をつけなよって話」
「………そっか。知らず知らずの内に応援してくれる人を、そんな風に言ってしまうことになるのか…」
そんな事、考えたことなかった。
僕を応援してくれる人なんて誰も…アザミちゃん以外、いなかったから。
じゃあ、応援してもらえたら何て返事をしたらいいのだろう?
「そしたらさ!
応援してくれてありがとう、頑張るね!
…で、いいんじゃない?」
ね!と、笑うアザミちゃん。
「私、デクくんのこと大好きだよ!」
「………へっ?!?!」
「泣き虫だけど誰よりも優しくて、努力家で。ちょっと、こう…弟?みたいで。
可愛い幼馴染だと思ってる」
「えっ、あ!そ、そう、なんだ…っ!?」
僕は何を焦っているんだろう…?!
僕たちの関係性なんて、昔から知ってるだろ!?
しかし、頭の中で此等の言葉が木霊する。
“大好き”
心臓が破裂しそうなくらいドクンと脈打ち体中の血液が暴れ、身体が飛び跳ねた。それと同時に“弟”“可愛い”と言われ、ほんの少し胸がちくんと痛んだ。
……僕は今。
心の中で何を期待し、何に落胆した?
「デクくん見てるとね、すっごく応援したくなる!」
「えっ、そ、そうかな…?!」