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【ヒロアカ】みんな誰かのヒーローで

第4章 体育祭、それぞれの準備



* * *


「エンデヴァーの息子、居ますかぁ?」

「こっちに来てるって聞いたんですけどぉ」



“エンデヴァー”

身体中から炎を噴出することができる個性を持つ、万年No.2ヒーロー。燃え盛る轟炎、炎を自在に操り悪を討つ。

俺のクソ親父。




何処に居ても、何処に行っても。
“エンデヴァー”という単語が嫌でも俺の耳に届く。まるで「忘れるな」とでも言っているかのように。戒めのように。


大丈夫だ、忘れねえよ。
一瞬でも忘れられねえくらい、恨んでる。


体育祭間近の放課後。
図書委員の仕事のため、図書室の受付カウンターに座り、訪れた生徒の本の貸出や返却の手続きをしていたら、癪に障る甲高い女生徒達の声が聞こえた。


“何か用かよ”


そう言って、姿を見せて、これで満足か?って。
カウンター席から立ち上がろうとした矢先、俺より早くカウンターから出て行く奴が居た。


「そうなの?!見てないよー!
もう閉館時間だから、誰もいないよ?」


あっち行ったんじゃない?と、そいつはすぐそこの職員室を指さした。すると女生徒達は顔を曇らせ「職員室かぁ〜」「帰ろ」と立ち去って行った。


「俺を庇ったつもりか?」

「え?」


匿ってくれとも、助けてくれとも。
一言もそんなことは頼んでいない。


「余計なお世話だ」

「だって…」


俺を勝手に庇ったソイツ…女生徒も、結局はあの野次馬と同じじゃないか。
俺が“エンデヴァー”の息子だから、だろう―――




「だって、エンデヴァーの息子なんて来てなくない?」

「―――は?」

「ここに居るのは、私と轟くんだけでしょ?」

「……………そうかよ」


この女生徒…彼女は、俺がエンデヴァーの息子だと知らないのか。だから「見てない」と野次馬達に告げたのか。


「何でもねえ」

「でもさあ、さっきの女子達は失礼だね!
カメラ用意してたもん」


轟くんの事、撮る気満々だったよ!と。本人の俺より怒ったように言った。
待て、俺の事を撮る気だった?


「お前、俺がエンデヴァーの息子って知ってるじゃねーか」

「えっ」

「エンデヴァーの息子を知らないって言ったくせに、何であの野次馬が俺を撮る気だって分かったんだよ」

「あー……」


バレちゃった、と苦笑いする女。



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