第6章 体育祭、それぞれの想い
猫柳さんは猫の爪にハチマキを引っ掛け、あっという間に奪い取る。
「こら!!返せこのっ!!」
颯爽と走り去る猫の猫柳さん。
俺が攻防に徹している間、猫柳さんは俺が再現したタコ足の上を軽やかに走り回り、ハチマキを回収していく。
「わっとと!」
「隙ありッッ!」
「猫柳さん!!」
猫柳さんがピンチな時は俺のタコ足で猫柳さんを回収する。なかなか良いコンビネーションで順調にハチマキを回収していく。
「天喰ィィ!!」
「?!」
「天喰くん、危ないっ!!」
バシィィィン
俺に放たれた物理的な攻撃を、瞬時に人の姿に戻った猫柳さんはそれを空中で足蹴に弾く。くるんと体を捻りバランスを取りながら再び猫の姿に戻り、俺の肩に立ち乗った。
その個性の使い方が、猫柳さんの動きが、華麗なパフォーマンスのようで俺を含め周囲の生徒が魅入ってしまった。
「私だって、天喰くんを守るよ!」
人間と猫の身体や機能を自在に操る猫柳さん。
そう複雑な個性ではない。
ヒーロー科の、互いに把握された顔ぶれの個性の中、猫柳さんの個性は少なからず俺達ヒーロー科に動揺を与えている。
君はミリオの個性技術は凄いって言うけど、君もとっても……
「ありが…」
「わあっ?!!」
お礼を言い切る前に、俺と猫柳さんは突如巻き上がった巨大な竜巻に飲み込まれていた。
「余所見してっとぉ、足元掬われんぞォ!!」
風を操る個性を持つ者が竜巻を起こし、いくつもの騎馬を飲み込みバラバラにしていく。例外なく俺達も引き離されてしまった…!
「あ、天喰くん…ッ!!」
「猫柳さん!!…くッ」
竜巻に飲み込まれ、空高く舞い上がる。
竜巻の中をぐるぐる回る中、猫柳さんと手を取り合えそうな機会があるものの、あと僅かな距離が届かなかった。
《おっとー?!巨大な竜巻に飲み込まれ騎馬がバラバラだァーーー!!
上に乗ってる奴が地上に落ちた時点でアウトだぞー!!》
(ま、まずい…!)
どうにかして猫柳さんと合流しなければ!!