第6章 6
『・・・・ぱい、・・・・・土方先輩!』
「ん?もう終わったのか?」
『はい、お待たせしてしまってすみません!』
「全然かまわねーよ。
少し外で待ってろ・・・
本を借りてくるから。」
『わかりました。』
ウィーーン
『(あー、もう少ししたら夏だなぁ。
あれからもう10年も経つんだ・・・)』
とボーっとしていると
「ねぇねぇ?おねぇちゃん何してんの?」
『え?別にちょっと…。』
「ふーん、じゃあさ俺と遊びに行かない?
おもしろいとこ行こうよ!」
そう言って男はむつきの腕をつかんできた。
『や、やめてください!
私、人を待っているです!
離してください!』
「その待ってる人って彼氏?」
『ち、違います!
てか手離してください!』
「彼氏じゃないんだ。
じゃあ問題ないじゃん!
ほら行こうって!」
そう言って男はむつきの手を
離さないまま歩き出した。
『いや!離して!』
「おい!てめぇー!むつきをどこに
連れて行くつもりだ!
そいつは俺の連れだ。その汚い手を
離してもらおうか。」
土方先輩は眉間にしわを寄せながら
切れ長の目を鋭くし男を睨みつけていた。
土方先輩の迫力にびびったのか
その男は私の手を乱暴に離し
逃げていった。
乱暴に離されてしまったので私は
道に転んでしまった。
「おい、むつき!大丈夫か?」
『は、はい。・・・・・大丈夫です。』
「悪かったな・・・俺が先に出てろって
言ったばかりに怖い思いさせちまったな。」
『あ、私は大丈夫です。
助けていただいてありがとうございました。』
「困ってる奴がいて助けるのは当たり前だろ!
それにお前は蓮の妹だしな
それよりケガとかしてねぇか?」
『だ、大丈夫です。
すみません、迷惑かけてしまって。』
「迷惑とか思ってねぇよ。
よし、もう帰るぞ!」