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【BLEACH】闇夜に咲く花

第8章 躾


「それで?私室で良いか?」
「ううん、技局に行きたい」
「ギキョク?」
「技術開発局の略だよ、浮竹」
「あぁ、そうか」
「阿近のところ行きたいの」



浮竹さんに、京楽さんの背中に乗せられる。
いつも羽織っている女性物のピンクの羽織を脱ぎ、私の上に掛けてくれる。
広くて逞しい背中。



「義骸返しに行かないと」
「千早?仕事は今日は休めと言っただろう?」
「や。仕事じゃない。阿近に会いたいの」



背中の上で嫌だ嫌だと駄々を捏ねる私を不思議そうな顔で見つめると、その後二人は顔を見合わせて笑っていた。
京楽さんの背中に揺られて技術開発局に入り、浮竹さんは涅副隊長に阿近の研究室の場所を聞いていた。



「阿近くん?失礼するよ」



京楽さんが外から声を掛け、浮竹さんが扉を押す。
中からは相変わらず濃い薬品の匂いがして、阿近の部屋だと実感出来る。



「どうしたんすか?お2人揃って」
「やぁ、阿近くん。
いやー、それがねー?
千早ちゃんがどーっしても阿近くんのところに行きたいって駄々を捏ねて聞かないものだからさ、連れて来ちゃった!」
「はぁ?」



薄れゆく意識の中で、遠くで阿近の声がする。
低くて耳当たりの良い、良い声。



「千早ちゃん、1週間近く寝てないみたいでフラフラしてたから、ここで寝かせてあげて?」
「あー……良いっすよ。その辺に適当に寝かせてください」
「ありがとう。頼んだよ」




*****




隊首会からどのぐらい時間が経ったのだろうか。
重たい瞼を持ち上げて、辺りを見回すとそこは自室ではなく阿近の研究室だった。
どうして?私なんで阿近のところで寝ているの?
眠過ぎて、ボケて押しかけた?
そもそもここまで歩いて来た記憶もない。
焦って勢い良く身体を起こすと、頭がグラグラと揺れた。



「……よう。起きたか」
「あ、阿近……おはよう。ねぇ、私なんで……」
「隊首会でフラフラしてるお前を京楽隊長と浮竹隊長がここに運んで来た」
「京楽さん達が?ここに?」
「お前が駄々を捏ねて聞かなかったんだと」
「え、ウソ!」



椅子から立ち上がり、ジリジリと私の方へ歩いて来る阿近は不穏な雰囲気を纏っていて。
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