第7章 調査
「あなたは昔から気配に敏感でしたからね。
これ、貸してあげます」
喜助くんが私の胸から頭に掛けて薄い布のようなものを掛けてくれる。
それが掛けられると、不思議と周りの霊圧が感知出来なくなっていた。
「外の霊圧を完全に遮断する布っス。
1人が寂しければ猫型の夜一サンの添い寝もつけるっスよ」
「おい、勝手に」
「さて、黒崎サン達は下で稽古をつけましょうか。
千早サンを起こさないように結界もいつもより張りましょう」
皆の声が遠のいていく気がする。
夜一さんが、しっかり休めよと言葉を残して部屋から出て行く。
*****
皆が下に降りてから1時間程経った頃、お店の扉が開けられる音が聞こえた。
布の影響で霊圧を探ることは出来ないけど、話し声はどこかで聞いたことのある声のような気がした。
覚醒しない頭ではそこまでしか考えられない。
「ちわーっす、誰も居ねぇのか?」
扉越しに声を張り上げられ、否応にも目が覚めてしまう。
ノソノソとゆっくりとした動きで布団から起き上がり、パーカーとスカートの裾を直すと声のする方へ向かった。
まだ頭の中がぼんやりとしている。
「おーい、誰かーって神咲隊長!?」
「あ、斑目三席、弓親さん。お疲れ様です」
「うん、お疲れ様。
髪寝癖ついてる、仮眠してるところだった?ごめんね、騒がしくして」
「ううん、大丈夫です」
「僕達千早の仕事の引き継ぎに来たんだ。
浦原さん居る?ちょっと話がしたいんだけど」
まだ覚醒しきっていない頭をフルフルと振り、無理矢理眠気を覚ますと2人を中へ入れた。
「ちょっと待っててくださいね、今呼んで来ます」
「うん。お願い」
確か下に行くって言ってたよね。
微かに漏れている霊圧を辿って、地下室の前まで辿り着くと、そこにはかなり分厚く強固な結界が張られていた。
こんなに強い結界を使っても尚霊圧を漏れているなんて、凄い。
義魂丸を使って義骸から抜け出すと、何重にも張られた結界に手を這わせた。
「……染まれ、加蜜列」
触れた感じ、この結界を力の制限された今壊すのはかなり厳しいだろう。
斬魄刀を解放し、部分的に結界の効力を弱め、そこから中へ侵入する。