第7章 調査
「いや〜、流石っスね、千早サン。
この結界は千早サンでも破られない自信があったんスけど〜」
「私の斬魄刀の能力があったから出来ただけです。
素の霊圧では壊せなかった」
「それは制限された霊圧ではってことっスよね〜?
仮眠は終わりですか?」
いつも通りの口調だったけれど、その表情には驚きが滲んでいて。
「十一番隊の斑目三席と綾瀬川五席が居らしてます。
私の任務を引き継ぐみたいで、喜助くんとお話がしたいそうです」
「了解っス。じゃあ皆サン、今日はここまでにしましょうか」
喜助くんの言葉に各々片付けを始めた。
当の喜助くんはそそくさと地下室から出て行ってしまっている。
この空間に取り残されるのはかなり気まずい。
話題がない。広い地下室はシンと静まり返っている。
「あのー、千早……さん?朽木さんは元気ですか?」
「!え、ええ。今は霊圧を回復させる為に身体を休めていると聞いてます」
「そっかー、良かったーっ。
あ!あたし井上です。井上織姫!よろしくお願いします、千早さん」
「こちらこそ、お願いします。神咲千早です。
どうぞお好きなように呼んでください」
私に対してニコニコと明るい笑顔を向けてくれる女の子。
井上織姫ちゃん。
彼女のお陰で重たかった空気が少しだけ軽くなった気がした。
*****
上に戻ると、まだ三人の話は続いていた。
話を掻い摘んで喜助くんが説明してくれる。
虚の出現率についての調査は彼ら二人が引き継ぐこと、そしてそれは死神代行組にも行って貰うこと、等々。
当の私はこの調査を二人に引き継ぎ、尸魂界に帰還することになっているらしい。
やはり隊長不在では十四番隊の稼働率が落ちてしまったとか。
「それと、その前の件についてはうちの隊員が迷惑を掛けたみたいだね」
「その前……?あぁ、斬魄刀の件の。もう話が届いたんですか?早いですね」
「ちょっと前に隊長が呼び出されて、偉く不機嫌で帰って来たものだからね。
その後の鍛錬は皆隊長の八つ当たりの餌食さ」
「それは大変でしたね……」
「じゃあこの件は僕らに任せて、ゆっくりと休みなよ」
「うん、そうします。あとのこと、よろしくお願いしますね」
そう二人に告げて、穿界門を開いて尸魂界に帰る。