第7章 調査
暫くすると虚の霊圧が消えた。
やはり私が行く必要はなかった。
「奥の部屋に布団敷いてありますよ〜」
「ありがとうございます」
布団を頭まで潜ると強い眠気が襲って来た。
頭がボーッとして何も考えられない。
やっぱり睡眠って大事だね。
意識を夢の中に沈めようとしたその時、再び伝令神機が鳴った。
「んー……」
音を鳴らし続ける伝令神機に手を掛け、画面を確認すると総隊長からだった。
総隊長から電話が来るなんて珍しい。
「……はい、神咲です」
(なんじゃ、眠そうな声をしおって)
「すみません、何かありましたか?」
(ちと伝達事項と任務の追加じゃ)
総隊長からの話を要約すると、副官は明日から復帰する手筈で進んでいること、追加で虚の出現する回数の多い地区の調査。
現世の重霊地、空座町は虚の出現率が異様に高いのだが、その中でもどの場所が高いのか。
それに応じて配置する隊士も変わって来るだろう。
またやることが増えた、と欠伸を噛み殺しながら布団から出る。
「もう仮眠は終わりっスか?」
「うん、ありがとうございました」
「アタシには全然寝てるようには見えませんでしたけど」
「追加で別の調査が入って、寝て居られなくなっちゃったんです。
ごめんなさい、折角布団敷いてくれたのに」
「ちゃんと寝ないと身体持たないっスよ」
そう言われるや否や、肩を押されて布団に逆戻りする。
一瞬何が起こったのか分からなかったけど、すぐに身体を起こそうと手を付けばその手を顔の横で拘束される。
「き、喜助くん……?」
「ほら、ちゃんと抵抗してます〜?弱いっスよん」
腕を振り解こうと力を入れてもビクともしない。
息が掛かりそうな程に顔が近付き、身体が密着して身動きが更に取れなくなる。
「普段のあなたならこの程度の力簡単に振り解ける筈っスよ。
それともアタシのこと誘ってます?」
「はい!?」
「なんの疑いもなく男の部屋に上がって、布団にまで入っちゃって、これ天然でやってたら相当タチが悪いっスよ」
「あ、あの……喜助くん?一旦落ち着こう?」