第7章 調査
これで、今後何も問題が起きなければ一件落着かな。
やっと尸魂界に帰れる、阿近に会える。
「お疲れっスね〜、千早サン」
「っ、喜助くん」
「お久しぶりっス。護廷十三隊に復帰されたって聞きましたが、どうっスか?」
「お久しぶりです。相変わらず激務ですよ」
気を抜いていた訳じゃなかったのに、後ろから来る気配に気付かなかった。
喜助くんは二番隊出身で気配を消すのに長けていたけど、ここまで気付けなかったことは今までない。
私が鈍ったかな。
「また寝てないんスか?
千早サンがアタシに背後を取られる時なんて、大体その時しかないじゃないっスか〜」
「うん、そうかもです。
ここ最近任務で詰めてて全然寝てなかったから」
「良かったらアタシん家来て仮眠します?
今浦原商店って言うしがない駄菓子屋の店主をやってんスけど、お茶ぐらい出しますよ」
浦原商店?
そういえば調査の途中で何度か前を通ったことがあるような気がする。
喜助くんのお店だったのか。
「じゃあお邪魔しても良いですか?」
「もちろんっス。今皆出払っちゃってアタシ1人なんスよ〜、もう寂しくて寂しくて」
「ウソ、喜助くんむしろ1人の方が好きじゃないですか」
「そんなことないっスよん。
最近は寂しいと思う時もあるんス、千早サンもたまにありません?」
浦原商店までの道を、喜助くんと並んでゆっくり歩く。
寂しいと思う時かぁ。
今が1番思うかな。阿近に会えなくて。
メッセージも電話も来ないから、きっと研究を詰めてるんだろうなぁ。
「着いたっスよ〜、今お茶煎れるんで適当に座っててください」
「お邪魔します」
中は少し薄暗く、ダイニングと思われる場所には小さなちゃぶ台が置かれているだけだった。
喜助くんが煎れてくれたお茶はほんのりと甘みがあって、凄く落ち着く味だった。
やっぱり温かいお茶は疲れた心を癒してくれる。
湯呑みを持ったままウトウトしていると伝令神機がピピッと機械的な音を発した。
「……距離的にはそう遠くないわね」
虚の発生を知らせるものだ。
ここから少し近い距離に一体。
反応から見て下級だろう、ここは担当の死神に任せるべきかな。