第7章 調査
私の言葉に少女は小さく頷くと、椅子に縛り付けられている男の前で深く頭を下げた。
「ごめんなさい」
「ちゃんと謝れて偉いね、でももう同じことをしちゃダメよ?」
「うん、分かった。ねぇ、オネーサンもシニガミ?」
「そうよ。家まで送って行くわ、少しだけ外で待っててくれる?」
「うん」
少女を外に出すと薄い結界を張り、外に声が漏れないようにする。
縛られている男の縄を解くと今すぐにでも少女の元へ行きそうな雰囲気をしていた。
そんな男を呼び止めると凄く嫌そうな顔をされる。
「んだよ、助けてくれたことは認めるが、俺はあいつを懲らしめねぇと気が済まねぇ」
「あなたに少女を責める資格はないです」
「はぁ?あんたなんだよ、いきなり来て偉そうに……俺が誰か分かって言ってんのか?あぁ?」
「知りません。
でも斬魄刀を落とした上に一般人に捕まるなんて死神として恥ずべき失態です」
そう話すと、男の顔がカッと赤くなった。
「さっきから聞いてりゃ……言いたい放題言ってくれやがって」
「あなた、所属は?」
「俺は更木隊だ」
「そう。何席?」
「え?」
「十一番隊の何席?」
「更木隊に居る限り席次なんて関係ねぇんだよ、何せ護廷十三隊最強の隊だからな」
これ以上話を聞いても埒があかなそうだ。
「縛道の四、灰縄」
「ぐっ、てめぇ……!」
暴れる男を縛道で拘束し、尸魂界に強制的に送る。
その場で総隊長に事の顛末を説明し、彼の処遇について判断をお願いした。
私はもう暫く現世の様子を見て、問題がなければ帰る旨を伝えるとすんなりと了承が貰えた。
*****
「ごめんね、お待たせ」
「ううん、オネーサン大丈夫だった?」
「大丈夫よ、私それなりに強いの。お家どこ?近く?」
「うん、すぐそこだよ」
少女を送る最中、今回の事件の詳細を聞き出した。
道端に斬魄刀が落ちていたこと、それを拾うと変な男が襲い掛かって来たこと、怖くてその人を縛ってしまったこと。
等々、話を聞いていくとボロボロと十一番隊隊士の執務態度が明らかになっていく。
「ありがとう、オネーサン。もうあんなことしません!」
「うん、信じてる」
少女を家まで送ると、深く肺から息を吐き出した。