第7章 調査
その後1週間が経過するも、調査に進展は得られなかった。
こんなに情報がないっていうのもおかしい気がする。
1週間まともに寝てなくて回らない頭を物理的に叩き起こし、調査を再開させる。
「……!」
不意に不穏な空気が流れた気がした。
胸がザワザワするような感覚。
何かが起きる。
その感覚に身構え、次の行動を考える。
目の前から歩いて来る少女から変な霊圧を感じ、こっそりと後を付ける。
少女が歩みを止めたのは古びた倉庫の前。
辺りに人の気配はない。
流石に中までは入れない為、壁に耳を付けて倉庫内の様子を探る。
中の霊圧は2人。
……いや、2人と1匹かな。
何か小さな動物が1匹居るようだ。
「ねーねー、オニーサン。これそろそろ返して欲しい?」
「ぐっ、おい、もう満足しただろ!返せよ」
「え〜?どうしよっかなー、そんな言い方されたら返したくないなぁ」
「くっ……」
中から男女の言い争う声が聞こえる。
言い争うというよりは、少女が煽り男性が一方的に吠えてる感じがするけど。
「それは人間が扱って良いもんじゃねぇんだよ!」
「でもぉ、その人間のか弱い女の子より弱いシニガミってどうなの?」
人間、死神。
建物内に居るのは人間の少女と、死神の男。
話から察するに、何かを少女に盗られた上身動きが取れない状況に居るのだろう。
死神が持ち歩く、人に盗られてはいけないもの。
そう考えれば自ずと答えが出て来る。
義魂丸か、斬魄刀か。
人間に被害を及ぼすものなんてそのぐらいだろう。
「このカタナ凄いのね。
持ってると不思議と力が沸いて来るし、この裏のところを押し当てると皆消えてなくなっちゃう!」
……斬魄刀の方ね。
どうやらこれで全てが解決しそうだ。
死神がなんらかの手違いで斬魄刀を落とす、または奪われてしまい、それをこの少女が悪用している。
本来なら斬魄刀なんて生身の人間には見えない筈だけど、ここは現世の重霊地。
霊圧の高い人間も多く、見える人が居ても不思議じゃない。
「あんまり煩いとオニーサンも消しちゃおっかな〜?」
「っ、わ、悪かった。だからこの縄解いてくれ」
「えー、やだよ〜」