第7章 調査
その後乱菊副隊長に何着か現世服を見繕って貰い、店を出た。
あとは阿近が義骸を完成させてくれれば問題なく出発出来る。
きっと超過密スケジュールであろう阿近を手伝いたいけど、義骸は私の専門外だ。
手を出したところで、足手まといにしかならないだろう。
そう考え、大人しく夜まで待つことにした。
「謎の魂魄消失に、魂葬の手違い……」
執務室で資料に目を通していくと、中々常識では考えられないことが書かれていた。
死神による魂葬ミスや、斬魄刀で一般人が切りつけられる事案。
その地区の虚の急激な増加など。
確かに早急に調査・解決の必要な案件だ。
このまま野放しにしておく訳にはいかない。
現状ではどのぐらいの期間を任務に割くか分からない。
発足したばかりの隊を、隊長不在のまま何日も放置して大丈夫なのだろうか。
分からないことはないだろうか、緊急事案が回って来たりはしないだろうか。
心配しか残らない。
「やっぱり副官は早急に探さないとね。
留守を任せられる存在が居なければ、私も他の隊士達も安心して仕事に臨むことが出来ないし。
……縛道の五十八、掴趾追雀」
抑えていた霊圧を解放し、縛道で目当ての霊圧を探す。
探しているのは私が三番隊に居た頃の副官だ。
書類を捌く能力も、戦闘能力も、コミュニケーション能力も申し分ない。
「捕捉成功。
良かった……まだ生きていたのね」
任務までの時間もそう多くは残っていなかった為、足早に彼の霊圧のあった流魂街へ向かった。
調査でもないのに、流魂街を歩いている死神なんて珍しいだろう。
すれ違う人が皆、何事かと好奇な目で見て来る。
「千早……様?」
「!織羽!」
「あなたともあろうお方がこんなところで……それに、その格好は……」
見覚えのある顔をジッと見つめてタイミングを計っていると、幸いにも相手から声を掛けてくれた。
驚くのも無理はないだろう。
引退した筈のかつての上司が居るのだから。
「実はね、総隊長命令で護廷隊に復帰したの。
技術開発局で義眼を造って貰って、今は問題なく見えてる」
「そうですか……それは良かったです。
片目では過ごしにくいですからね」