第5章 何でも屋
「さっ、遠慮せずどんどん食べてね〜。
苦手なものとかある?なければ僕が適当に頼んじゃうね」
「うん、大丈夫。お願いします」
「ふはっ、なんで敬語なの」
京楽さんが店員さんに注文を済ませると、すぐにサラダが出て来た。
それをつまみつつ、お酒をそれぞれ口に運ぶ。
塩キャベツ美味しい……。
コースメニューじゃないけど、京楽さんのおすすめらしい。
私の目の前に座る京楽さんと浮竹さんは羽織を脱いでリラックスしている。
「千早ちゃんお酒強いの?」
「うーん、お酒はあんまりだと思う。好きだけど強くはないかな」
「確かに歓迎会でもそんなに飲んでなかったな。あのあと二日酔いにならなかったか?」
「ギリギリ大丈夫だったよ」
「え、浮竹千早ちゃんと飲んだの?」
「たまたま席が近かったんだ。なぁ?」
「うん。あの時はご迷惑をお掛けしました……」
ぼんやりとだけど、浮竹さんに背負われている記憶が薄らとある。
歓迎会で酔い潰れた私を私室まで運んでくれたのだろう。
そんなに待つことなく運ばれて来た海鮮丼は魚が凄く新鮮で甘みがあって美味しかった。
「別に、飲ませたのはこっちなんだし千早が謝ることじゃない」
「ちょっと、その話詳しく」
「詳しく話すことでもないぞ。
歓迎会の主役は色々なところで飲まされるからな、潰れても仕方ない」
「思いの外お酒が美味しくてつい……」
その後も浮竹さんの卵焼きを1口貰ったり、京楽さんおすすめの逸品を食べたりと、お腹が満たされる頃には酔いも随分と回っていた。
身体がポカポカと暖かくて、強い眠気に襲われる。
昔からそうだ。
お酒が入るとすぐに眠くなってしまって、まともな思考が出来ない。
故にあまり外では飲まないようにしているのだ。
「あらら、顔が真っ赤。酔っちゃったかな?」
「ん。お酒もご飯も美味しかった」
「それは何より。ところで千早ちゃん、新しい隊はどう?
上手くやっていけそうかな?」
「うん。仕事は多いけどやり甲斐はあるよ」
「そっか、なら良かった」