第5章 何でも屋
研究室を出て、私室へ戻る。
今後は涅隊長にあまり近づかないようにしよう、と決めた。
本当はもう少し阿近と話していたかったけど。
軽く食事を済ませ、湯浴みをして床に着いた。
阿近はまだ研究室に居るのだろうか。
*****
翌朝早くに、一番隊隊首室に呼び出された。
「千早、そろそろ十四番隊の隊員達を募集する。
副官は募集せんから、自分で探すんじゃ。
かつての副官を任命しても良い。
それから席官は各隊の隊長の推薦で決める予定になっておる」
「分かりました」
新設されたばかりの、得体の知れない隊への異隊を望む人なんて居るのかな。
そこだけが心配だ。
ちゃんと仕事内容は伝わっているのだろうか。
「再三言うが、お主の仕事は……」
「各隊の補佐、ですよね?」
「あぁ。色々な仕事を与えるからの、休める時に身体を休めておくんじゃ。
お主が機能しなければ各隊の機能も衰える。
そこのところをしっかりと……」
「心得ております。では」
お説教される前にと、背を向けた。
総隊長は話を始めたら長い時がある。
普段は要件だけをまとめて簡潔に話してくれるのだけど、極稀に長々と捕まってしまう。
「あぁ、忘れとった。
死神代行組の世話もお主の仕事じゃからの。
きっちり面倒見るんじゃ」
「死神代行組?」
聞き慣れないワードに、歩みを止めた。
誰だっけ、その人達……と頭をフル回転させて記憶を張り巡らせる。
思い出した。
今回の旅禍騒動の現世の子達だ。
「近々、こっちへ来て貰おうと思ってるからの。それだけじゃ」
「はぁ……分かりました」
今度こそ、隊首室をあとにした。
死神代行組か……。
大まかにしか聞いてないから、イマイチどんな人達なのか分からないな。
詳しそうな人に聞こう。
忙しなく人が行き来する廊下を歩きながら、目的の場所へと向かった。