第4章 十四番隊、始動初日
「一体何時間やってるんだ?」
「うーん……」
考える為に首を傾げると、ゴキッと骨が鳴った。
2人しか居ない部屋ではよく響く。
「……相当やってるみたいだな、中々そんな鈍い音聞いたことがないぞ。
どれ、少し休憩にしないか。茶菓子を持って来たんだ」
「ありがとう。今お茶煎れるね」
席を立ち、固まった身体を解そうと伸びをすれば、至る所でポキポキと骨の鳴る音がした。
そして再び気まずい空気が流れる。
「たまには休憩も大事だぞ。無理をしても良いことなんか1つもない」
「……うん」
結局お茶まで煎れて貰い、執務室を出て縁側に移動して寛ぐ。
ポカポカと陽の当たる縁側に腰掛け、浮竹さんの分の膝掛けも持って行く。
今の時期は差し込む陽は暖かくとも、まだ少し風が冷たい。
お茶の温かさと、茶菓子の優しい甘さが染みる。
「美味しい……」
「だろう?これは阿散井くんオススメのたい焼きなんだ」
「しっぽまで餡子たっぷりで美味しいです」
「甘い物苦手じゃなくて良かった」
思わず顔を綻ばせれば、浮竹さんが嬉しそうに笑う。
「あ、ここに居られたんですか。神咲隊長、浮竹隊長」
「吉良副隊長……お疲れ様です、書類ですか?」
「お疲れ様です!はい、追加の書類を……」
「まぁまぁ、君もどうだい?少し休憩していかないか?
俺が言うのもなんだが、働き詰めも身体に良くないぞ」
「いえ、自分はまだ仕事が……」
「クマ、出来てますよ。昨日あまり寝てませんね?」
「あ……はい」
「少し休んでいかれてはどうですか?休息も仕事の内ですよ」
「じゃあ、お言葉に甘えて少しだけ……」
浮竹さんの隣に腰を下ろした。
最初は凄くいたたまれなそうにしていたが、お茶を飲むと緊張が解けたのか肩の力が抜けていた。
「じゃあ私はその間に吉良副隊長の分の書類を……」
「おいおい、まだ休憩中だろう?」
「十分休んだし……」
「もう少し休憩しないと、持たないぞ。
それに確か京楽が執務室に行くとか言ってたかな」
「じゃあもう少しだけ」
「あぁ」
京楽が居たら仕事にならないもんな、と楽しそうに笑う。