第3章 呑んで、呑まれて、食べられて

｢可愛い……！
もう、あんたなんでそんなに可愛いのよ……！男殺し!?｣
｢あの、ちょっと仰ってる意味が……｣
｢普通にしてても可愛いのに、あんたが笑えばそこら辺の男なんてイチコロよ。
なんなら笑みだけで人を殺せそうね｣
｢それはなんか酷くないですか……！｣
｢やーね、褒めてるのよ｣
｢そんな褒め方されても素直に喜べません……｣


少しムッとしてお酒を呑む。


｢松本、あんまりからかってやるなよ｣
｢何よ、阿近。あんた随分千早と仲良さそうね。
技局員と隊長なんて接点ないでしょうに｣
｢まぁそうだな｣


松本副隊長は呑むペースが早く、それに着いていこうと呑んでいた阿散井副隊長は早々に潰れ、檜佐木副隊長も酔いが回っているようだ。
真っ赤な顔をしてお酒を飲んでいる。


｢あの、松本副隊長って……｣
｢乱菊！｣
｢副隊長は……｣
｢ら、ん、ぎ、く｣
｢乱菊副隊長はお酒強いんですか？｣


半ば強制的に名前を呼ぶことになった。
呼ぶまで話を聞いてくれなそうな気配がした。


｢ザルだろ｣
｢やーね、ちゃんと酔うわよ。ザルじゃない。
ちょーっと人より強いだけよ。
そういう千早はどうなの？呑むの？｣
｢お酒はあんまり……たまに1人で少し呑むぐらい｣


誰かと呑むのが久しぶりで、既にちょっと酔いが回り始めている。
頭の中がポワポワする。


｢それは想像通りね。
じゃあ今日は潰れるまで呑みましょ、阿近の奢りで｣
｢おい｣
｢何よ、あんた研究ばっかでお金使うことないじゃない。
それに十二番隊と技術開発局掛け持ちしてるから給料良いんでしょ、給料2倍なんでしょ？｣
｢どっから聞いたんだそんなデマ……掛け持ちしてても給料は大して変わんねぇよ｣