第2章 初めまして、久しぶり
「おい、松本。離してやれ」
「えー」
「良いから。迷惑してんだろ」
「……はーい」
渋々といった様子で漸く解放してくれた。
これでやっと呼吸が楽になる。
「あたし、松本乱菊。気軽に乱菊って呼んでね。
こっちは日番谷隊長。
見た目はこんなだけど、色々と凄いから。
遠慮なく頼って頂戴」
「おい」
松本副隊長は美人だ。
顔立ちもスタイルも全て整っている。
というか護廷隊の席官に居る女性隊士って皆綺麗じゃない!?
その中に入るなんて私浮いちゃうんじゃないかな。悪目立ちしてそう。
「もう、本当可愛い。食べちゃいたいわね」
そう言って私を再び抱き締める。
油断していたところに急に圧迫され、変な声が漏れてしまったのは内緒。
聞こえてないと良いんだけど。
「お世辞でもそう言って頂けて嬉しいです。
ところで日番谷隊長、少しお話があるのですが……」
「あぁ、なんだ?
松本、いい加減離してやれ。これじゃ仕事にならねぇ」
「えー……」
嫌そうにゆっくり身体を離す。
こんな美人な人にされたら、男の人じゃなくてもテンパってしまう。
現に緊張で心臓がバクバクと大きく脈打っている。
「五番隊の仕事の引き継ぎに。今、どんな状況ですか?」
「そうだな……五番隊は隊長不在、副隊長である雛森も休養中だ。
書類は半分俺が引き受けて残りは五番隊の隊士がやってる。
虚討伐などの実践任務は回って来ねぇようになってる」
「なるほど……把握しました。
ではこれからは十番隊に回している五番隊の書類は私が引き受けますね。
日番谷隊長もお忙しそうですし」
机の上に溜まる書類を見て思う。
五番隊の分もあるとは言っても、これはかなりの量の書類仕事が溜まっている。
他隊の書類を引き受けている場合ではなさそうな程に。
「いや、これは誰かさんが仕事しねぇせいだ。
もう少し真面目に仕事してくれりゃ、こんなに溜まったりはしねぇ」
「っ、あ、はは……」
睨まれた松本副隊長は笑って誤魔化そうとする。