第2章 初めまして、久しぶり
「交換時なら痛みはそれなりに少ないんだがな。
今はまだ神経を繋げたばかりだ、多少の痛みは仕方ねぇ」
「全然多少じゃない、凄い痛かった」
「だから泣くなって言ってんだろ、興奮する」
「あ、阿近さん。俺やっぱ出直しますね。
また夕刻来ます」
そう口早に告げ、研究室を出て行く檜佐木副隊長。
「……あいつ、勃ったな」
「ん……?」
「いや、なんでもねぇよ。
それよりこの義眼調べるから、好きに過ごしてろ。
動ける体力があるならな」
「分かった」
阿近はトレーに移した義眼と向き合う。
体調を崩したばかりなので下手に動くことはせず、そのまま診察台で横になっていると阿近が毛布を掛けてくれた。
ふわりと煙草の匂いがする。
阿近の匂いだ……。
*****
「なぁ、千早。お前局長と会ったか?
見掛けたとかじゃなく話したりとか」
色々検査したあと、おもむろに口を開く。
「局長……?」
「十二番隊隊長。青髪で白と黒塗りの」
「あぁ……!
少しだけ話したかな、特に長話じゃなくてほんの少し」
「触られたりしなかったか?」
「そういえば目触られた」
「それだな」
「え?」
「副作用の原因、恐らくそれだ」
「でもどうして?」
理解出来ず、首を傾げる。
なんで涅隊長が原因って分かるのだろうか。
「あの人の斬魄刀に使われている物質……まぁ毒の成分が義眼の粘膜に付着していた。
局長は好奇心で人に毒盛る癖あるしな。
副作用はその毒が引き起こしたんだろ。
解毒しておいたからもう1度はめるぞ」
「え……また……?」
「あぁ。それとも片目のまま仕事してぇか?」
「ゴメンナサイ……お願いします」
「分かりゃ良い」