第2章 初めまして、久しぶり
「ちーす」
千早がシャワーを浴びている間に義眼についてのデータを漁る。
ついでに調べたばかりの千早のデータも引っ張り出す。
「どうした、修」
「どうしたって、義眼の交換っすよ。月一の。
今日行くって言いましたよね?俺」
そういやそうだったな。
こいつ、檜佐木修兵は九番隊の副隊長。
霊術院時代に目に傷を負ったことで視力が低下した為、片目は義眼をつけている。
あまり知られてねぇがな。
「仕事はどうした?休憩にはまだ早ぇだろ」
「今日は非番で。
あ、でも隊首会だけは強制参加だったんで行って来ました」
「ほぉ、任官式か」
「そうです。
よく知ってましたね、阿近さんは興味無いと思ってましたよ」
「別に興味はねぇ。
悪いが今は立て込んでんだ、交換ならちょっと待ってろ」
「研究忙しいんですか?なんか他の局員もバタバタしてましたもんね。
あ、お茶煎れますね」
と、勝手に研究室内を動き回る。
毎回思ってはいたが、自分の部屋みてぇな寛ぎ方だな、おい。
「ねぇ阿近さん。阿近さんて、勃つんすか?」
「は……?」
お茶を啜りながら何を言ってんだ、こいつは。
つーか真顔で聞くことかよ、気持ち悪ぃな。
同性のシモ事情なんて1番どうでも良いだろ。
「いや、だって阿近さんが欲情してんの見たことないし、想像もつかないっすもん。
浮ついた噂も聞かねぇし、ちゃんと抜いてます?
あ、そもそもまだ勃ちます?」
「なんでそんなことお前に言わなきゃいけねぇんだよ。
つーか俺とお前はそんなに歳変わらねぇだろうが、むしろお前のが歳上だろ」
検査の準備をしつつ修を睨む。
「それより今から研究ですか?俺邪魔なら出直しますけど」
「研究というよりは検査だな。義眼に不具合が生じた」
「え、義眼って阿近さんが作った義眼!?
不具合が出ることなんてあんの!?」
「俺も初めてだ。
だが現に出てる以上検査しない訳にはいかねぇ」
「で、当の本人は……」
「風呂」