第2章 初めまして、久しぶり
「もう……たまになら、ね」
「あぁ。
義眼の調子はどうだ?見えづらさや違和感はあるか?」
「今のところ無さそうかな」
「そうか。これ、俺の番号だ。なんかあったら掛けて来い。
実験で手が離せない時以外は基本繋がる」
紙に書かれた阿近の連絡先を貰い、研究室をあとにした。
阿近って本当に可愛い。
なんかこう……甘やかしたくなるというか。
弟が居たらこんな感じなのかな。
*****
気持ちを切り替えて、向かうは一番隊隊舎。
隊門をくぐり、隊首室に向かえばすでに総隊長が待っていた。
「義眼の調子は良さそうじゃな。
これを。隊長羽織じゃ。じゃあ行くかの」
隊長羽織に袖を通し、先を歩く総隊長に続く。
儂が呼んだら入れ、とだけ言い残し総隊長は先に扉の向こうへ入って行ってしまう。
1人だと中々入りづらいなぁ。
空気どんな感じなのかな、と色々と頭を過ぎってしまう。
程なくして部屋に呼ばれ、目の前の重々しい扉に手を掛けた。
「神咲です。よろしくお願いします」
軽く頭を下げる。
任官式は護廷十三隊の中でも重要な式であり、隊長だけでなく副隊長も出席する為人数が多い。
そして当たり前だけど、見知った顔よりも知らない顔の方が多かった。
「話はさっき説明した通りじゃ。
新しく作った十四番隊の隊長に神咲千早を任命した。
話は以上じゃ、解散!」
要点だけを述べ、さっさと出て行ってしまう総隊長。
良いのか、それで……。
「まぁまぁ、そんな不安気な顔しなさんな。
せっかくの可愛い顔が台無しだよ」
と、京楽さんが笑う。
「そうさ、先生の言葉が少ないのなんていつものことだろう?
それに我々は予め新しい隊のことも千早のことも聞いてる。
しばらくは慣れない環境で戸惑うだろうが、俺で良ければ相談に乗るからいつでも来い」
「浮竹さん……ありがとう」
浮竹さんは、いつも欲しいと思った言葉をくれる。
周りへの気配りの出来る凄く優しい人。
何度この人の言葉に救われたことか。