第14章 また寝てねぇだろ。
「っ、美味しい……!」
「ふふ。喜んで貰えて良かった。
ゆっくり食べながらで良いから、今回のこと説明するね」
「うん。お願いします」
甘いケーキの合間にお茶を挟むと口の中が良い感じにリセットされて凄く食べやすい。
クリームもそんなにこってりとした甘さじゃなく、優しい甘さだから沢山食べられそうだ。
「まず今回の大まかなところは、さっき山じぃが説明した通りさ。
これは彼らを擁護する訳じゃなくて事が起こった経緯を説明するね。
技局員の男の子と四番隊の女の子は2ヶ月程前から交際していたの。
互いに仕事が忙しく中々プライベートの時間を作ることが出来ず、ようやく見付けた手段が勤務時間中の逢い引き」
京楽さんの言葉に、ケーキを食べていた手が止まる。
食べながらなんて聞ける訳がない。
これは他人事じゃないんだから。
「逢瀬を重ねつつも最近は2人すれ違うことが多かったそうなの。
ここからは千早ちゃんを責めている訳じゃないから、気を悪くしないで欲しいんだけど……。
彼は最近好きな人が出来てしまったそうだよ。
そして逢瀬の回数も減っていき、久方ぶりの逢瀬の時に別れ話をされた」
「その時に私の限定解除の申請が来てしまったという訳ね……」
タイミングが悪かった、なんて言葉は使いたくないけど、まさしくそうだろう。
逢瀬のタイミングじゃなかったら、2人が順調だったら、限定解除申請は通常通り降りていたかもしれない。
タラレバの話なんてしても意味がないけど、事実そういうことだろう。
「うん、そうなの。
丁度別れ話をしている最中で、その彼の想い人からの申請だったから」
「……え?」
「彼のプライバシーも考慮してあの場では名言を避けて貰ったけど、彼が好きなのは千早ちゃん。
そしてその事実を伝えている最中に、件の人物から連絡が入り、カッとなって嘘をついてしまった。
そう言っていたの」
思ってもみなかった内容に、頭が落ち着かない。
「誰が誰を好きになろうとその人の自由だから、こちらとしては特にその件に関しては処罰はしない。
でも勤務時間中の逢瀬と、業務妨害で2人共処罰されると思うよ。
卯ノ花隊長と涅隊長は減給か厳重注意だろうけど」