第14章 また寝てねぇだろ。

｢今回の調査の結果、意図的に情報が改ざんされていたことが判明した。
春水、詳細を｣
｢は〜い、千早ちゃん、ごめんね。気を悪くしないで聞いて欲しいんだけど……｣
｢うん、大丈夫です｣



申し訳なさそうに眉根を寄せる京楽さん。




｢千早ちゃんからの申請はちゃんと技術開発局に届いてたの。
そこは間違いないから安心して。
名前は伏せるけど申請を受けた局員は研究室内で逢瀬中でね、その逢瀬を邪魔されたと感じた交際相手の四番隊の隊員が独断で棄却の一報を入れてしまったという訳なの｣



それで烈さんが呼ばれている訳なのね。
それにしても、これは紛れもなく公私混同。
人の命の関わることだ、許されることではない。
虚偽の返答をした四番隊の隊員はもちろんのこと、その局員もなんらかの処罰を受けるだろう。



｢千早。この度はうちの隊員が迷惑を掛けて申し訳ありません｣
｢そんな！頭を上げてください、烈さん！｣
｢これは私の監督不行が起こした結果です。
そのせいであなたにも怪我をさせてしまいました｣
｢私の怪我は私の実力が招いた結果です、誰の責任でもありません。
しかし今回の1件は決してあってはならないこと、同じような事案が続けば必ず死者や現世に多大な被害をもたらします｣



今回は私の負傷だけで収まったけれど、次同じことが起きた時はどうなるか分からない。
今回のようなことが続けば連携は乱れ、技術開発局への信頼も失われるだろう。
たった1人の犯した過ちで全てが崩れてしまう。
組織とはそういうものだ。



｢如何にも。
まぁ今回はその隊士にも相応の処分を下す予定ではあるが、今後一切護廷隊士同士の恋愛は禁止とする｣
｢へ？｣
｢山じぃ、それはいくらなんでも｣
｢口答えは許さん。
まぁ護廷隊士と言うても隊長格はという意味じゃ、良いな？｣



総隊長の言葉がいつもよりも重く、深く私に突き刺さる。
1度男女間の縺れによる不祥事が起きてしまえばこうなると分かっていた。
分かっていたし、以前の私なら特に何も思うことはなかっただろう。
でも今は違う。
阿近のことを好きになってしまった今、この気持ちや阿近との関係を引退するまでずっと隠し通していかなければならない。