第14章 また寝てねぇだろ。
「そんなの気にしなくて良い。
仕事が一段落したら来い、その様子じゃまた寝てねんだろ。
そろそろ寝ねぇとぶっ倒れるぞ」
「うん、それは分かってるんだけど、中々ね……」
「あとで伝令神機に地図送ってやる。
何時になっても良い、来いよ」
「うん、ありがとう」
阿近の部屋に呼ばれたのは初めてだ。
普段は研究室か私の部屋で会うことが多かったから。
約束があるとやる気が出て来る。
早く仕事を終わらせて阿近に会いたい。
*****
阿近が帰ってからいつも以上の速度で仕事を終わらせた。
時刻は定時になる5分前。
このまま何も無ければスムーズに上がることが出来る。
筆を置き、身体を伸ばすと1羽の地獄蝶が舞い込んで来た。
このタイミングの地獄蝶は良い思い出はない。
かと言って無視する訳にもいかず、仕方なく指先に地獄蝶を止めた。
発信元は案の定総隊長で、今から隊首室に来いと言う内容だった。
すぐに帰れるように、帰り支度を済ませてから隊首室に向かう。
隊首室の扉の外には雀部副隊長が待機していて、そのまま何も言わずに中へ通された。
「ようやく揃ったかの」
中へ1歩踏み入れると総隊長の他に、烈さんや京楽さん、涅隊長が揃って立っていた。
なぜこのメンバーがここに集められているのだろうか。
共通点が見つけられない。
何か合同の任務でも始まるのだろうか。
それにしても謎なメンバーだ。
「今回集まって貰ったのは、先の現世任務における限定解除の件じゃ」
聞き覚えのある内容になぜ集められたのか、すぐに察しがつく。
烈さんや京楽さんが居るのは不思議だけど、総隊長のことだから何か意図があって呼んだのだろう。
「今回現世にて千早が限定解除の申請をし、それが棄却された。
だがしかし現に儂の元にはその申請は届いておらんし、棄却もしておらん。
どういう経緯でこのような事態になったのか京楽、浮竹、涅に調査を依頼したところ判ったことがある」
言われてみれば確かに昔から京楽さんや浮竹さんは調査を担当することが多かった気がする。
片一方の話だけを鵜呑みにせず、周囲の空気に流されない彼らは確かに調査事に適任だ。