第13章 調査終了
少し時間を置き、体調も大分回復したところで布団から起き上がった。
簡単に身支度を整え、時計を見ると出立まであと一刻を切っていた。
少し寝過ぎちゃったかな。
「おい、忘れもん」
「え?」
髪を引っ張られて驚いている間に、髪を上で束ねて阿近が何かを刺される感覚がする。
シャランと小さく綺麗な音が聞こえて、簪を付けてくれたのだと分かる。
そういえば潜入初日に阿近に預けてそのままだった。
「やっぱりお前が持ってた方がしっくり来る」
「ふふ、ほんと?
これ付けてると離れてても阿近と一緒に居る感じがして凄く頑張れるの」
「あんま襲いたくなるようなこと言うな」
「もう、阿近ったらまたそういうこと言って。
エッチなことしか考えられないの?」
「男なんて皆そういう生き物だ」
さも当然かのように言う阿近。
付き合う前はそんなイメージがなかったけど、阿近は意外とムッツリなのかもしれない。
「そういえば阿近が現世任務なんて珍しいのよね。
仕事は大丈夫なの?」
「さぁな。まぁ大丈夫じゃねぇだろうな。
あそこでまともに書類仕事やってんの俺と数人ぐらいだ」
「じゃあ戻っても暫くは休みなしな感じ?」
「多分な。
つーかそれは千早もだろうな。書類回んねぇんだろ?」
「うん、多分。織羽も決して書類仕事が苦手な訳じゃないんだけど、量が桁違いなのよね……」
十四番隊は護廷十三隊各隊の抱えきれなくなった書類が全て回って来る。
元々の十四番隊の書類に加えてだから、それなりの量がある。
*****
予定よりも少し前倒しで午後に尸魂界に戻った。
限定解除の件も含めて総隊長に報告を済ませ、通常業務に戻る。
十四番隊は想定していた通り大量の書類に追われている様子だった。
「織羽」
「ご、ごめんなさい」
「ん?何が?」
「書類全然終わってなくて……むしろ千早様が居た時よりも仕事を増やしてごめんなさい……」
「そんなに謝らないで。
十四番隊は元々書類仕事が多いの、最初にも言ったでしょ?」
「はい……」
目に見えてしょんぼりと項垂れる織羽。
書類が溜まってしまうのは仕方のないことだからそんなに気に病まなくて良いのに。