第13章 調査終了
「そのダボダボ感が男の人が好きなんだって。
あたしはよく分からないけど」
「……そうなの?好き?」
「俺に聞くな」
答えてくれない阿近に唇をムッと尖らせた。
私だって阿近の好み知りたいし、阿近の好きなタイプに近付きたい。
少しでも自慢の彼女になりたいのに。
「……けち」
「ケチで結構だ。お前はそのままで居てくれりゃそれで良い」
皆に聞こえないような小さな声で阿近が笑った。
阿近がそんな風に思ってくれていたなんて全然知らなかった。
嬉しくなって後ろから阿近に抱き着いた。
阿近は特別気にする素振りは見せることはなく、飲み続けている。
「寝るなら向こうで寝て来い」
「阿近は?」
「俺はもう少し飲む」
「じゃあ私も起きてる」
「無理しなくて良いぞ」
「や。一緒がいい」
「好きにしろ」
クツクツと喉を鳴らすように笑う阿近。
楽しそうに笑うその顔はやっぱり可愛い。
私だけが知っている阿近の可愛いところに胸が温かくなる。
*****
飲み始めて数刻。
ニコニコと笑いながら話していた千早が急に静かになった。
隣に視線を移せば、まだ俺の白衣を着たままコクリコクリと頭を揺らしている。
普段キッチリ着込んでいる千早が男物の服を緩く着る姿は欲情しない訳ではないが、正直素肌に着た方が唆る。
今度やらせるか。
「寝るなら向こうに布団あるぞ」
いつ頭をぶつけてもおかしくないような寝方だ。
布団で寝るように促しても嫌だ嫌だと首を横に振るばかり。
酔ったこいつはよく喋る、んで感情が隠せない。
全部顔や言葉に出やがる。
寝ないと口では言いつつも身体は正直で、何度もうたた寝を繰り返している。
「来るか?」
トントンと自分の膝を叩けば2つ返事ですぐに頭を乗せる千早。
明日からかわれることになるだろうが、俺の知ったこっちゃねぇ。
机に頭をぶつけられるよりはよっぽど良いだろう。
俺の膝の上でスヤスヤと穏やかな寝息を立てる千早の髪を撫でる。