第13章 調査終了
皆が荷物を纏める為に居候先に帰る中、私はそのまま残り報告書を仕上げていく。
元々殆ど荷物を持って来ていなかったし、帰り支度にはそれ程時間は掛からない。
結界の中に居る彼女に再度強めの鬼道を掛けて眠りを深くさせる。
「進捗はどうだ?」
「うーん……6、7割ってところかな。
本人からの自白がないし、肝心なところがまだ不明瞭だから」
「吐かせるところまで千早がやるのか?」
「やりたいのは山々なんだけど、私もそんなに時間がある訳じゃないから総隊長判断かな。
二番隊に振るか、手っ取り早く薬使うか……」
吐かせる手段は色々とある。
それぞれ手間と労力、そして何より被検体への負担が変わって来る。
「自白剤でも使うのか?」
「まぁ、私がやるならね。
その方が双方にとって1番負担が少ないし、時間も掛からない」
「中々難しいだろ、あの薬」
「うん。完成させるまでにかなり時間が掛かった」
「!完成出来たのか?」
「一応は。刑軍が使ってるの見たことない?あれ私が開発した自白剤なの」
私が一度引退する前に作った薬。
それまで使っていた自白剤は副作用が強過ぎて、被検体を廃人と化してしまう為、罪が確定していた人にしか使えなかった物だった。
それでは自白剤の意味が無いと一から調合し完成した物を今でも重要参考人に投薬している。
「あの、反動少ねぇのに効果高いやつか?あれ千早が作ったのか?」
「うん、まぁ。かなり前の話だけど」
「一度だけ実験で使ったことしかねぇが、どの自白剤よりも効果が高かったのは覚えてる。
まぁ希少であまり使う機会は少ねぇとは聞くが」
阿近が驚いたように目を丸くしている。
普段見ることのないその表情は凄く新鮮で可愛い。
「あの薬を完成させるには私の斬魄刀の力も必要になって来るから、引退したあとなら尚更貴重だったのかも。
向こうにデータ残ってるけど、見る?」
「良いのか?」
「うん。見られて困るような物は何もないよ。
阿近ならデータから別の薬開発したりとかも出来そうだし、今後の為にも」
私だっていつまで健康で居られるか分からないし、少しでも作れる人を増やした方が今後の護廷十三隊の為になるだろう。