第13章 調査終了
程なくして結界内の空気が正常に戻ったのを確認すると、喜助くんに連絡を入れた。
「空間凍結はもう解除して大丈夫です。
急なお願いだったのに迅速に対応してくれてありがとうございました」
「良いんスよ〜、千早サンの為なら喜んで協力するっス」
「それと彼女を運びたいので1人こちらに派遣して頂けませんか?」
「了解っス!」
電話が切れると、これで一件落着だと安堵の息を吐いた。
気が抜けたからか、頭が凄くフラフラする。
流石に血を流し過ぎたのかもしれない。
目を瞑り、地面に横になっていると見知った霊圧が近付いて来る。
誰か1人とは言ったけど、まさかね。
「生きてるか?」
「阿近が来るとは思わなかった。生きてるわ」
「酷ぇ傷だな」
「むしろ軽傷な方よ」
「……ちょっと待ってろ」
背中を向けた阿近が伝令神機でどこかに電話を掛ける。
一言二言会話を交わすとすぐに電話を切ったようだ。
「じゃあ帰ろっか」
「待て」
「待て!?」
歩き出そうとすると、なぜか阿近に止められた。
犬に指示を出すみたいに。
「お待たせしました!」
「遅ぇ」
「すいません!」
「檜佐木くん?なんで?」
「修はそこの女運べ」
「えっと、待って、一旦状況を整理させて?
彼女を運ぶ為に阿近が来たのよね?どうしてそれを檜佐木くんに頼んでるの?」
訳が分からなくて頭がこんがらがる。
そして阿近も檜佐木くんも、当然のように話を進めている。
疑問に思っているのは私だけのようだ。
尚更納得出来ない。
「あ?お前を歩かせる訳ねぇだろうが、重症患者め」
「私は平気だよ」
「五月蝿ェ……修」
「了解っス!」
阿近に名前を呼ばれた檜佐木くんが彼女を横抱きにする。
「担がれんのとおんぶされんの、どっちが良い?
今なら選ばせてやるよ」
「だから自分で歩けるよ」
「それは却下だっつったろ。我儘言うな、また躾られてぇか?」
「っ、ごめんなさい」
躾ける。
そのたった一言で、前回の濃い情事を思い出して身体が熱くなる。
「そういうことは俺の居ないところで言ってくださいよ。
阿近さんイメージなさ過ぎてビビるんスよ」