第13章 調査終了
喜助くんに天挺空羅で通信をしてから3分弱。
空間凍結された感覚がした。
流石に仕事が早い。
斬魄刀を地面に突き立てると抑えていた霊圧を解放した。
「卍解……“ 死の小林檎(マンチニール) ”」
あっという間に斬魄刀から大きな幹が成り、そこから枝を生やす。
分かれた枝の先に小さな林檎のような実をつける。
「なんや、甘い匂いがするね」
「良い匂いでしょう?もっと嗅いでも良いんですよ。
すぐに天に昇れるから」
実から放たれる匂いは有毒だ。
実1つ1つの毒性こそ強くはないけど、塵も積もればなんとやらだ。
この距離で長時間嗅いでいればすぐに毒が回って動けなくなるだろう。
「あかん。やっぱ愛染隊長の言う通りやわ」
「なに」
「ここは引くとしよ。ばいばーい、十四番隊長はん」
「まっ……!」
バラッと何かを大量にばら撒くと黒腔を開いて帰って行ってしまった。
逃がした……。
悔しさに唇を噛むと、下にばら撒かれた何かに集まって虚達がどんどん集まって来る。
これは撒き餌ね。
最後の最後に面倒なことをしてくれる。
幸い私はまだ卍解状態だ、この数ならば処理するまでにそう時間は掛からないだろうけど、もう彼を追うことは出来なくなる。
*****
数分と経たない内に撒き餌に引き寄せられて来た虚を殲滅することが出来た。
問題は私の放ったこの毒素。
毒素が完全に抜けるまでは結界と空間凍結を解けない。
このレベルならすぐに分解されるだろう。
彼女の解毒も済まさないと。
彼女の手当てをしつつ、尸魂界に居る総隊長に報告を入れた。
「莫迦者がァ!お主はなぜ毎度毎度事後報告なんじゃ!
やむを得ない場合以外は儂に一報を入れろと口を酸っぱく言うておろうが!」
「申し訳ありません、限定解除の許可が降りず、やむを得ない状況でしたので」
「誰が開き直って良いと言うた!
それに限定解除の許可申請なぞ来ておらんぞ」
「はい?そんな筈は……」
「とにかく、多目に見るのは今回だけじゃぞ」
そう言って電話を切られた。
許可申請が来てないって一体どういうこと?
私は確かに技術開発局へ要請を入れた筈。
まぁ事実を追求するのは今じゃなくても良いか。