第2章 初めまして、久しぶり
阿近に診察台の上に寝かせられる。
「まずはその邪魔な眼帯取るが良いか?」
「うん」
薄い手袋をはめ、保存用の液体に浸かった義眼を手にした阿近が笑う。
「神経を繋げる作業は痛みを伴うが、覚悟しておけよ」
「……ハイ」
好きな人なんて居ないだろうけど、私も痛いことはあまり好きではない。
それでもやるしかないこの状況で文句は言ってられない。
「おい、目瞑ってたら入れらんねぇだろうが」
身構えてギュッと目を固く瞑ると怒られた。
それもそうね。
目を開かされ、手袋をした手に圧縮した霊圧を纏わせた阿近が義眼を持って近づき、そしてはめた。
「いッ……!!」
「まだだ、閉じんな、動くな」
はめてからしばらく、霊圧で何やら操作をしている。
その間も痛いし、乾燥はするしで目に涙が溜まる。
目を閉じられないなんて拷問に近い。
「っし、出来た。終わりだ、お疲れさん」
手袋を剥がし、ゴミ箱に捨てる阿近。
終わり……。
そう嬉しい言葉が聞こえて来るも、しばらく痛みで目を開けられず、涙を零し続ける。
「おい、泣くな。興奮すんだろうが」
「阿近のえっち。痛いもん、無理」
と、ティッシュを渡される。
「義眼は毎月交換が必要だ。
俺のは特殊だから毎日取り外す必要も目薬も要らねぇ。
分かったな?」
「……うん」
「いい加減目を開けろ。こっちは見え具合の確認をしてぇんだよ」
そう言われ、ゆっくりと左目を開いた。
「っ……」
「見えるか?」
「っ、うん。見える……!
見えるよ、阿近……ありがとう!」
久しぶりのことに嬉しさが込み上げる。
「そうか、それは良かった。ところで……」
そこで不意に言葉を区切る阿近を不思議に思い上にある顔を見上げると、診察台に身体を預ける私の上に乗っていた。
「興奮しちまった、抱かせろ」