第2章 初めまして、久しぶり
始業時刻に合わせて技術開発局に向かう。
皆眠かったのか、何も聞かれずにすんなりと通してくれた。
阿近の研究室まで来て、深呼吸してから静かにノックした。
「なんだ」
「神咲です」
「……あぁ、入れ」
許可が降り、ゆっくりと扉を開けた。
中は2日前と変わらず薄暗く、薬品の匂いが濃く香る。
変わっているとすれば、それは阿近が机に向かってはおらず半裸だということ。
「あ、阿近……!」
ガシガシと濡れた髪をタオルで拭きながら歩いて来る。
どうやら奥の部屋はシャワー室のようだ。
「すみません、お邪魔でした……?」
「別に、邪魔じゃねぇから返事したんだろ。
あと敬語、戻ってる」
「あ、ご、ごめっ」
「どもり過ぎ、裸ぐらい見慣れてんだろ。
にしてももう2日経ったか、早ぇな……。
支度するからちょっと待ってろ」
そう言って顎で近くのソファーを指す。
「ありがとう」
髪を乾かし、死覇装と白衣を着た阿近がお茶を運んでくれる。
心なしかその足取りはフラフラしているようにも見える。
というか阿近ってお茶煎れてくれたりするんだ。
「阿近、もしかして徹夜空け?」
「あー……」
何かを考えるように上を向き、静かに答えた。
「……5徹ぐらい」
「ごっ……!?寝ないとダメじゃない!
身体持たないよ!フラフラしてるし!」
お茶を運んで来たクマが色濃く残る阿近を、ソファーに寝かそうとする。
「馬鹿が、今寝たらてめぇの義眼はどうなる。
言っとくが他の連中は義眼なんて専門外だ、俺しか出来る奴が居ねぇ。
局長なら出来るかも知れねぇが希望通りにやってくれるか分かんねぇぞ」
「……それが終わったらちゃんと寝てね?約束出来る?」
「善処はするよ、約束は出来ねぇ」
「ダメ!約束!」
「はぁ……わーったよ」