第12章 調査 #2
限定解除の許可が降りるまでなんとかこの場を凌ぐしかない。
「ええね。キミの白い肌が血で赤くなるのも」
「っ、変態……!」
「そない俗な言い方せんでもええやん。
それに男は皆ヤラシイこと考える生き物やで」
肩や腕、脚と少しずつ切り傷が増えていく。
出血こそそこまで多くはないけど地味に痛い。
頬に出来た傷から流れる血を拭ったところで、また彼の斬魄刀が伸びて来る。
咄嗟に斬魄刀で弾いて避けることが出来たけど、反応が遅れていたらかすり傷じゃ済まなかっただろう。
「ええの?避けて」
「え?」
「死ぬで、あの子」
「っ!しまっ……!」
刀を弾いた先に居たのは、ヤコ。
鬼道で拘束している上に意識のない彼女には避ける術は皆無だ。
いくら外部からの攻撃を反射するとは言っても、反射出来る力には限度がある。
この攻撃は反射出来ない。
「縛道の三十九、円閘扇」
瞬歩で彼女の前に出ると円形の盾を造り出し、攻撃を弾く。
攻撃を弾くと同時に盾は粉々に砕け、その反動でバランスを崩した。
「ざ〜んねん。終いや」
「え?うっ……!」
弾いた一瞬で斬魄刀は元の彼の位置に戻り、また伸びて居た。
今度は間に合わない。
ドンッと大きな衝撃が身体に走り、目の前が真っ白になる。
視線を落とすと腹部に斬魄刀が突き刺さり、背中まで貫通している。
刀を縮められ、刀身が身体から抜かれると一気に血が吹き出して地面を汚す。
「あとはソレ回収して帰るだけなんやけど……まだやる気な顔やね」
「っ、当然、でしょ……!」
「あんま動かへん方が身の為やで」
「余計なお世話です」
隊長羽織を破って、幹部の止血用に宛がった。
この傷の深さでは気休め程度にしかならないけど、何もしないよりはマシだろう。
どう動こうか考えていると無線が鳴った。
やっと許可が降りたのね、随分と待たせてくれる。
(空間凍結、限定解除共に許可申請降りませんでした)
「えっ……?」
「大ピンチやないの、でも手加減はせぇへんで」
無線からは抑揚のない女性の声が響く。
先程よりも早く距離を詰められ、またしても防戦一方になる。
まずい、このままでは勝てない。
せめて限定解除か、卍解を使わなければ。
でもこんなところで卍解なんて使ったら現世の人達が。