第12章 調査 #2
「もう一度聞くで。
なんで愛染隊長が用済みって判断した子をボクが助けなあかんの?」
「っ、そんな……!
だって、だってだって、わたしの力が必要だって!
僕に着いて来いって!そう言ったじゃない!」
興奮して身体を揺らす彼女に近付き、顔の前に掌をかざす。
白い光が放たれると彼女の身体からはガクリと力が抜けた。
そんな彼女の周りにも小さく結界を張る。
「随分と鬼道が得意なんやね。
その子に張った結界、鏡門やろ?外からの攻撃を反射する結界。
なんでそない面倒なもん張ったん?」
「あなた、この子を殺す気でしょう」
「あら〜、バレてたん?」
ニヤリと口が三日月を描く。
「白々しくとぼけなくて良いです。
2対1で戦っているのにあなたの意識は私じゃなく彼女に向いていた。
護廷十三隊で隊長を務めていた男がこんな分かりやすく殺気を漏らすなんて有り得ない。
私に分かるようにしていたとしか考えられません」
「お〜、コワ。流石は隊長はん、凄い洞察力や」
口では褒めているけど、実際はなんとも思っていないのだろう。
言葉に感情が感じられない。
掴みどころのない相手。
「まぁボクも捕まるんは嫌やし、それなりに抵抗するで」
「それなり、ね」
「そうや。限定霊印打ってないボクの、そこそこやで」
ニヤリと笑ったかと思うと、すぐにまた斬魄刀が伸びて来た。
伸縮自在なのね。
こういう斬魄刀を持つ人は基本的に遠距離攻撃が得意で近距離であまり攻めて来る人は居なかった。
今までに経験したことがない手法だ、凄くやりづらい。
なんとか間合いを空けないと私の苦手分野からは抜け出せない。
「いっ…!はぁっ、はぁっ……!」
呼吸が上がる。
苦しい、酸欠で頭が回らない。
身体も鈍くなっていき、躱せていた攻撃も徐々に身体を掠めるようになって来た。
このままではマズイ。
(神咲千早より技術開発局。
現在現世で市丸ギンと交戦中。
至急半径5km圏内の空間凍結と限定解除の申請を!)
尸魂界にある技術開発局に申請を入れる。
基本現世の事案は技局を通し上へと申請され、通れば技局から私達に通達される仕組みになっている。
技局を経由する為少し時間が掛かってしまうのが難点だ。