第12章 調査 #2
「量はあんまり考えたことなかったけど、確かにちょっと多いかも……?
回道をずっと使い続けてるみたいな感じかな」
「回道って、俺は使えねぇがかなり霊圧消耗すんだろ?」
「うーん……怪我の度合いと、その人の霊圧にも寄るからなんとも言いづらいんだけど。それなりにかな」
確かに回道は他の鬼道に比べて霊圧の消耗が激しい。
まぁ他の鬼道とは全く別のものだから比べるべきではないんだろうけど。
もちろん番数によって異なるけど、1発で完結する破道よりも、継続して行う回道の方がトータル面で見た霊圧の消費は上だ。
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書類仕事に没頭している内に、気が付くともう学校へ行かなければいけない時間になっていた。
仮眠を取るのを忘れた……。
ショボショボと霞む目を指先で押さえて、義骸を着る。
制服に着替え、寝ている皆を起こさないように上に向かう。
「おはようございます、千早サン」
「おはようございます、喜助くん。お早いですね」
「当たり前じゃないっスか〜。千早サンが働いてるのにアタシが休める訳ないっスよ〜。
なんてのは建前で、少しだけ胸騒ぎがするんス」
「……奇遇ですね、私もです」
「気を付けてくださいね」
「はい。行って来ます」
昨日からずっと胸の内側がザワザワと不快感を感じている。
原因が何かなんて分からないけど、このタイミングはきっと今回の件に関係があるだろう。
今まで以上に気を引き締めて行かなくちゃ。
「おはよー、千早。今日もカワイイね」
「おはよう」
授業中から休憩時間まで、学校に居る間は常に彼女を監視している。
でも未だに不振な点は見られない。
焦ってはいけない。
でもこのままただ時間を過ごすのも得策ではない。
こちらから仕掛けるか、相手が動くまでジッと待つか。
考えることが多過ぎて目が回りそうだ。
「じゃあね、千早。また明日!」
「あ、うん。また」
今日は用事あるから、と鞄を片手に廊下を走っていく彼女。
……これは、尾行するしかないでしょ。