第12章 調査 #2
「見ないでください!」
「え〜、見せる為にそんなカッコしてるんでしょ?」
「ち、違います!これはなんて言うか不可抗力で……。
それより何かあったんですか?皆さんがこんな時間に集まるなんて」
夜間はXが動かない時間帯だ。
そんな時間に身体を休めずここに居るということは、何か起きてしまったか起きる前触れか。
そのどちらかだろう。
「ええ、まぁ。
昨日回収したXの霊子の解析が終わったので情報を共有していたところです」
「どうだったんですか?何かめぼしい情報出ましたか?」
「阿近サン、お願いします」
「あんた面倒くさいからって……今回の回収した霊子の量じゃ少な過ぎて確実性は高くねぇが。
結論から言うと奴の正体は人間と死神の血の混ざった混血だ」
混血?
人間と死神の間に子供が出来るなんて、そんなこと有り得るのだろうか。
いや、有り得るからXが存在しているのだろうけど。
「身体を持たない私達が、身体のある人間に……って流れからすると逆ね。
身体のある人間が、身体のない死神を孕ませた」
「そうだな。
人間から生まれてたら奴は尸魂界には居られない」
「先程皆サンにもXが護廷十三隊に所属する死神であることをお伝えしました。
このことは山本総隊長にも報告済みっス。そちらはどうでした?」
喜助くんの言葉に、皆の視線が再びこちらを向く。
「……身近で霊圧を探った感じ、今までの現場に残されたXの霊圧とほぼ一致しています。
彼女がXであるかはまだ確証はないけど、今回のこの案件に何かしらの形で関わっていることは間違いないと思います。
でもまだ魂魄を虚化させる方法も、目的も分かっていません」
まだまだ不明点ばかりだ。
こればかりは彼女に問い詰めて解決する問題ではない。
慎重に、順を追って逃げ道を塞いでいかないと。
「そっスか。まぁアタシも1日で解決するとは思ってませんでしたが……上手く懐に入り込めたようっスね。
流石は千早サン」
「たまたま相手から距離を詰めてくれただけですよ。
私自身は何もしていません」
「またまたぁ、ご謙遜を!変わってないっスね〜、そういうところ」