第11章 調査 #1
「縛道の六十三、鎖条鎖縛」
程なくして、虚の殲滅を終えた。
少し気になることがあって、1体だけ鬼道で捕縛する。
他の虚よりも小柄で動きが緩慢、私でも運べるような虚を選んだ。
そこに檜佐木くんと阿近が合流し、状況を確認する為浦原商店へ戻る。
「千早、大丈夫?代わりに運ぼうか?一角が」
「オイ。テメェが運べや弓親」
「無理」
「少し重たいけど大丈夫です、自分で運べます。
ちょっと先に行きますね」
鬼道で動きを封じているとはいえ、ここまで虚が静かなことってあるのだろうか。
少し不安を覚えて、皆より先に浦原商店へ急いだ。
「お帰りなさいっス。っとこれはまた大きな手土産をお持ちで」
「研究体が居た方が原因究明に近付けると思って」
「ごもっともっス。
鉄裁サン、この虚を地下へ運んであげてください。
それから四肢を封じる鬼道を」
握菱さんが虚を地下まで運んでくれる。
下へ降りて行く喜助くんのあとに続こうとした頃、皆が戻って来た。
ひとまず話は下に降りてからにしましょう、と全員で地下室へ降りると足早に何かの準備を始めている喜助くんの姿が見えた。
「阿近サン、資材はこれで足りそっスか?
足りなければ鉄裁サンに言ってください、用意します。
とりあえず任せましたよ」
「好きに解剖(バラ)して良いんすね?」
「ええ。大いに役立ててください、滅多に手に入るものじゃないでしょうし。
さて、阿近サンにはこのまま解析を進めて貰って、アタシ達は情報を整理しましょっか」
阿近から少し離れた位置に皆で腰を下ろす。
上に上がっても良かったのだけど、それだと虚の様子が分からないから。
さっきの戦いから見て阿近なら問題ないと思うけど、念の為。
「それじゃ、状況を整理しましょっか、千早サン」
「そうですね。
まず最初にXが現れたのはこの場所よりおよそ1キロ先。
ここで私達が応戦中に次なるXの霊圧を感じ、即座に斑目三席と弓親さんに向かって貰いました」
「霊圧を感じたと言うのは?」
「日中に霊圧で印を付けた場所にたまたまXが現れただけです」
印を付けたのは、なんとなく気になる場所、言わば勘だ。
運が良かったとしか言えない。