第11章 調査 #1
「着いた」
現場に着くと夥しい数の虚がそこには居た。
まだ他の死神は到着していない、どうやら私達が一番乗りのようだ。
斬魄刀を抜き、虚に向かって振り下ろす。
斬っても斬ってもキリがない。
「千早さん!すみません、遅くなりました!」
「ごめん、お風呂入ってて」
檜佐木くんと乱菊副隊長が現れる。
2人に続いて斑目三席、弓親さんも合流しどんどん虚の数は減少していく。
このままなら数分と経たずに殲滅出来るだろう。
1体1体は強くないけど何より数が面倒だ。
「!斑目三席!弓親さん!
このまま東の方角に真っ直ぐ進んでください!もう1回大量発生が起きます!」
向かう方角に指を指し、声を張る。
2人は一瞬怪訝そうな顔をしたけどすぐに向かってくれた。
私が印を付けたポイントに別の霊圧が触れた。
この霊圧は、今居るこの場所にも微かに残っている霊圧と同じ。
Xの霊圧だ。
今行けば捕えられるかもしれない。
「乱菊副隊長も合流してください。
Xを捕えられるかもしれない、鬼道で奴の霊圧を抑える必要がある!」
「分かったわ、任せて」
瞬歩で乱菊副隊長も向かう。
この場はかなり数が絞られた、この数なら2人でも問題ない。
「千早さん、ここは俺1人でも大丈夫です。
行ってください!」
「……任せて良いのね?」
「はい!」
「分かった、お願い。
阿近も戦いが終わったらこっちの調査もお願いね」
「あぁ」
俺はこういうの向かねぇんだよ、と小さく愚痴を漏らしながら霊子サンプルを集めつつ鬼道で応戦する阿近を尻目に、次の虚大量発生の現場に急いだ。
*****
私が現場に着くと3人がそれぞれ虚と対峙していた。
近くにXの姿も霊圧もない。
逃してしまったか。
それにしても日中にしか動かなかった筈のXが夜まで動くようになったとなると、益々厄介なことになりそうだ。
色々と気になることはあるけど、今は目の前の虚に集中しよう。