第11章 調査 #1
「くくっ、林檎みてぇ。真っ赤だな。
そろそろ戻るか、寝ないと明日の任務に差し支える」
「うん、そうよね」
「なんだ?言いたいことあるなら躊躇わずに言え」
「……1つだけ、我儘言っても良い?」
「あぁ」
「キス、したい」
そう呟けば、阿近が驚いたように小さく息を飲む音が聞こえる。
断られるのが怖くてずっと俯いていると、名前を呼ばれ、恐る恐る顔を上げた。
「そういうのは聞かずにやれよ、千早にされて嫌なことなんてねぇから」
耳元で吐息混じりに吐き出された言葉。
息が耳に当たってゾクゾクする。
後頭部に回された手に期待して、目を閉じる。
「千早のキス待ち顔ってのも新鮮で良いな」
「やっ、見ちゃ……んっ」
「こんな機会そう多くねぇし、見ないのは勿体ないだろ。
舌、出せよ。もっと出せるよな?」
阿近に言われて小さく舌を出すけど、そんなものじゃ許してはくれない。
言われた通り舌を突き出すと、外気に触れて少しスースーする。
その舌に阿近の舌が触れ、口内で絡めるのとはまた違った刺激に頭がぼんやりとして来る。
阿近の舌凄く熱い。
「気持ち良いだろ」
阿近の問いに小さく頷いて答える。
後頭部に回る手とは反対の手が腰に回り、グッと引き寄せられる。
ピッチリと隙間なく埋められた私と阿近の距離。
グリッと下腹部に押し付けられた阿近自身の硬さに身体の芯が熱くなる。
「っ、ぁこん……たってる」
「そりゃ勃つだろ、千早とキスしてんだからな」
唇が離れた瞬間に吐き出された阿近の熱い吐息に、胸の奥がキュンと鳴くのを感じる。
キスだけで興奮してくれている事実が嬉しくて、自分から唇を重ねた。
勢いを付けすぎてしまったのか、角度が悪かったのか、ガリッと歯が当たる。
「ヘタクソ。んなに焦んなくても逃げやしねぇよ」
「ご、ごめんなさい」
「おら。もう1回」
阿近に促され、今度はゆっくり慎重に唇を重ねる。
良かった、歯は当たってない。
いつも阿近がしてくれるように舌を絡め、上顎や舌の裏をなぞる。
ピクリと小さく身体を震わせた阿近に気を良くし、舌の動きはどんどん大胆にエスカレートしていく。